研究課題
特別研究員奨励費
〈内容〉本研究では、ファージディスプレイ法により取得したがん関連糖鎖構造を標的とした単鎖抗体の調製とその診断や治療への応用を目的とした。標的とした糖鎖構造は、T抗原糖鎖構造および、マンノトリオース構造である。申請者は、大腸菌発現系で不溶性となった単鎖抗体を封入体として大量に得て、これを可溶化し精製後、ステップワイズ透析法にてリフォールディングを行うことで可溶性単鎖抗体を得た。さらにSPR法などにより単鎖抗体の結合親和性を調べた。また、これら単鎖抗体の、乳がん細胞のFoci形成能への阻害効果を調べた。さらに単鎖抗体の糖鎖付加による安定化を目的として、ショウジョウバエ細胞を用いた単鎖抗体発現系の構築を行った。一方、がん関連糖鎖抗原であるTn抗原が2糖あるいは3糖並んだ構造を認識するマウスモノクローナルMLS128抗体について熱力学的解析を行い、糖鎖と抗体との相互作用メカニズムについて詳細な情報を得た。〈意義〉糖鎖は自己抗原であるため、それらに対する抗体は生体内では得られにくく、また、動物細胞ではその発現株の樹立が困難であることが判明している。本研究では大腸菌発現系を用いて、リフォールディングにより可溶性単鎖抗体を得ることとし、大量調製を目指した。一方、単鎖抗体の溶液中での可溶化および安定化を高めることを目的としてショウジョウバエ細胞発現系を選択しその調製を試みた。また、糖鎖に対する抗体を得るにあたり、抗体と糖鎖の相互作用メカニズムを知るのは非常に重要であると考えられたことから、MLS128抗体とTn抗原との相互作用についてSPR法、ITC法などにより熱力学的解析を行った。〈重要性〉標的となる糖鎖構造は両者ともに種々のがん細胞で高発現することが明らかにされており、がんの分子標的療法への応用が切望される。
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