研究課題/領域番号 |
08NP0201
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研究種目 |
創成的基礎研究費
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小山 健夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10010696)
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研究分担者 |
田浦 俊春 東京大学, 人工物工学研究センター, 助教授 (00251497)
桐山 孝司 東京大学, 人工物工学研究センター, 助教授 (10234402)
久保田 晃弘 東京大学, 人工物工学研究センター, 助教授 (70192565)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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キーワード | 人工物工学 / 知的人工物 / 知識創発 / 設計支援 / 人工環境 / 協調設計 / マイクロマシン / ネットワーク |
研究概要 |
本最終年度はプログラムの各班で成果をまとめるとともに、将来に向けて人工物工学の問題設定および課題を再確認した。今日の人工環境の中で私たちが行っていることが、知識も含めた既知の人工物を使用しながら人工環境を継続的に改変していることであるとの認識から、人工物工学で対象にすべきものは有限環境下での持続的な設計であるとした。そして、有限環境の中で無数のサイクルを描きながらアブダクションが作動している持続的設計を理解する学問を作り、その理解に立って共同体の意思を設計に反映させる有用な手段を提供することが人工物工学の研究目標であると再定義した。そして今後の人工物工学の研究課題を、「設計のより深い理解を目指すモデル的方法」と「有限環境における持続的設計を実践する実験的方法」の大きく二つのアプローチで整理した。モデル的方法ではまず、経験基盤主義に基づいて導出されたイメージスキーマを手がかりにして、人工物のアブダクションにおける洞察力がいかに形成されるかについての解明を試みる。そして、身体経験の類似性を介して理解が共有されるイメージスキーマをベースに、共有可能な言語の研究を行う。また日常言語や特定分野を記述する専門言語による記述の理解において、いかに意味が共有可能なスキーマに変換されるかを研究する。また、既存の人工物に関する知識の集積から新たな人工物を記述する理論が作られ、それは再び次の人工物のアブダクションにつながるという、アブダクションの連鎖を研究する知識の適用過程の研究を設定する。そしてネットワーク、シミュレーション、データ構造化等の技術を利用して、アブダクションに有効な知識を生成する研究を行う。プロトタイピングの面では、有限環境のもとで干渉の少ない解を求めるためのプロトタイピングの研究を行う。ネットワーク、シミュレーションの利用を前提として持続的設計を支えるツールを社会に提供する。実験的方法ではまず、インターネット上で知識を共有することによる非同期分散環境での設計実験を試みる。人工物のメインテナンスをライフサイクルを通した持続的設計と捉え、ネットワークを介したメインテナンスの研究を行う。人工物の理解のためにイメージスキーマが使われる様子を中・長期的に観察し、また有限設計ワークショップを継続的に行う。以上に述べた人工物工学の今後の展望は、本年度11月に開催された第2回人工物工学国際シンポジウムにおいて、各研究班の成果とともに公表され、参加者、レビュアからの賛同を得た。
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