研究課題
創成的基礎研究費
今年度は研究計画の第2年次目にあたり、レーザー干渉計のための真空系の製作と設置が全体の50%程度まで進行し、レーザー本体も完成・納入された。また、干渉計用の懸架システムや低周波防振装置、防振用スタックなどの設計と製作を進める一方で、リサイクリングの基礎実験、光学制御系の方式設計、超低損失光学要素の開発など、未踏技術の開発研究を進めた。具体的な項目の進行状況と成果は次の通りである。1.10W出力の注入同期型レーザーが完成し、これに対する周波数および強度安定化の実験を開始した。2.高性能成膜装置により耐高出力・超低損失ミラーの試作を行い、性能評価を行った。3.モードクリーナ用ミラーを製作し、テーブルトップ実験によるリング型モードクリーナの基礎実験を行った。4.懸架システムを設計して1組の実機を製作した。これを用いた干渉計による性能評価は来年度に行う。5.20m干渉計の改良と雑音解析を進め、雑音レベルを現実のパラメータでの原理的なショット雑音に近づけることができた。6.スタック防振装置及び試作の2次元X-pendulum装置をモードクリーナー用真空槽に組み込んで、安定性・性能・真空汚染などのテストをした。7.データの遠隔取得と干渉計の遠隔デジタル制御のために光ケーブルを敷設し、システムの整備を続けた。8.連星中性子星の合体の様子をくわしく調べるため、最も内側の安定円軌道を数値計算ならびに摂動計算によって研究した。次年度は、干渉計システムへのインテグレーションが主になる年次であり、残りの真空槽並びに真空配管を製作・設置して真空システム全体を完成させ、300m干渉計の組み立てを行い、リサイクリングを行わない干渉計の動作を完成させる計画である。
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