研究課題/領域番号 |
09041004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
牛島 巌 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (10091886)
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研究分担者 |
亘 純吉 駒沢女子大学, 人文学部, 教授 (60099546)
矢野 敬生 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (40200555)
関 一敏 九州大学, 人間環境学研究科, 助教授 (50179321)
赤嶺 淳 日本学術振興会, 特別研究員
川田 牧人 中京大学, 社会学部, 講師 (30260110)
ABAYA Euraci フィリピン大学, 人文科学部, 助教授
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
17,200千円 (直接経費: 17,200千円)
1999年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1998年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1997年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | 呪術者 / 民族知 / 呪医 / 日常的な学習 / 鍛冶屋 / 二者関係 / 造船技術 / 漁業経営 / 民俗知 / 鍛治屋 / フィリピン / ビサヤ内海域 / 家内工業 / 知識と技術 / 伝承経路 / 取引関係 / 移動と定着 / ビサヤ内海 |
研究概要 |
本研究の目的はフィリピン・ビサヤ内海域において諸職、商人、呪的職能者が家内的に伝承してきた技術と知識を対象とし、その実践的運用と自らの配置を生かした生活の実態を解明することにある。研究の最終年度にあたる本年度は、これまでの研究の総括を主に目指した。まず宗教人類学からは、バンタイアン島を調査した川田はメレコと呼ばれる呪術者が儀礼の際に用いる呪的な言葉オラシオネスに注目し、それが一般住民に受容されるプロセスを考案した。オラシオネスには秘儀性の高い特殊な知識という側面と、住民が自らの経験に基づいて運用し、活用するという開かれた知識という側面が隠されていることを明らかになった。社会的配分という宗教的な知識をめぐる従来の理解では不十分であり、民族知への新たな研究の可能性を切り開いた。関はシキホール島で伝統的な治療師(呪医)の秘儀的な知識の伝承経路をたどった。呪医の主たる活動が病治しと薬剤集めにあり、いずれの活動についても日常的な学習による習得が可能であるため、同居親族から伝承されることが明かになった。経験に基づく知識が呪医活動開始の条件の一つであることが結論づけられた。社会人類学からは、牛島がレイテ島の鍛冶屋に着目し、材料調達、生産、販売といった一連の取引が個人的な二者関係の連鎖を通じてなされることが明かになった。小規模ながら経営を安定的に維持するためには、人間関係を固定化することなく、製品の需給に応じて柔軟に選択することが不可欠であるとの結論が得られた。亘はマリンドゥケ島で小型カヌーの製作技術を保有する集落に注目し、移住先においても特化した造船技術と僅かな資本をもとに、さらなる造船を行ない、船主や網元として漁業経営の拡大を目指すという移動と生計安定という海域社会特有の戦略が明らかにされた。上記の実績は「Bisayan Locations」としてフィリピン大学第三世界研究所より近刊される予定である。
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