研究課題/領域番号 |
09041017
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福井 捷朗 (福井 捷明) 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10027584)
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研究分担者 |
桃木 至朗 大阪大学, 文学部, 助教授 (40182183)
新田 栄治 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00117532)
伊東 利勝 愛知大学, 文学部, 教授 (60148228)
田村 俊和 東北大学, 理学部, 教授 (00087149)
足立 明 北海道大学, 文学部, 教授 (90212513)
MUNDARDJITO インドネシア大学文学部, 教授
SRISAKRA Val シラパコーン大学, 考古学部, 助教授
VALLIBOTHAMN シーサク シラパコーン大学, 考古学部, 助教授
吉野 正敏 愛知大学, 文学部, 教授 (60015956)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
26,800千円 (直接経費: 26,800千円)
1999年度: 10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
1998年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1997年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
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キーワード | 東南アジア / 人類生態史 / 古代文明 / 農業水利 / 稲作 / 環境変化 / モンスーンアジア / 半乾燥地 / 侵食平原 / ヒュー / バガン / アンコール / チャムパ / ジャワ / ヴァラヴァティー / 歴史 / 考古 / 生態 / 人類生態 / 農業 / 生業 |
研究概要 |
1.天水田地帯として知られている東北タイで天水田が卓越するようになったのは、今世紀半ばになってからである。それ以前は、タムノップと呼ばれる土堰によって低地が灌漑されていた。タムノップ土堰は、河川を横断して両岸より高く作られ、全流量が溢流し、両岸の水田に導かれる。集中豪雨、小さな河川集水面積、深層風化によって地表では岩石が入手しがたいという侵食平原特有の自然環境に適応した灌漑方式である。当時、人口は少なく、低地だけの灌漑水田で十分であった。20世紀半ば以降の急速な人口増加とコメ生産の商業化とによって侵食平原のほぼ全面が開拓され、天水田地帯が出現した。天水田による耕地拡大によって全生産量は増加したが、生産の不安定性も増加した。しかし、運輸交通の発達とタイ経済の発展とによって稲作以外の現金収入源が多様化し、天水田化による生産の不安定化を克服しえた。なお、タムノップはクメール語であり、今日のアンコール周辺の水田においても見られる。9-14世紀のクメール時代にも、タムノップ灌漑が存在していた可能性が高い。 2.アンコール巨大貯水池(バライ)は、その立地、構造からみて灌漑用に使用されていたとは考えがたい。アンコール時代の稲作は、低地の自然灌漑と微耕地のタムノップ灌漑によっていた可能性が高い。また、アンコールにはバライ以外に河川改修、運河掘削などのさまざまな水利施設がある。バライ灌漑をもってアンコールは水力社会であると規定されてきたが、バライ灌漑の可能性が小さい一方、その他の水利施設が存在することから、ある意味で水力社会であったと考えられる。
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