研究課題/領域番号 |
09041064
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
太田 至 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (60191938)
|
研究分担者 |
河合 香吏 静岡大学, 人文学部, 助教授 (50293585)
作道 信介 弘前大学, 人文学部, 助教授 (50187077)
北村 光二 弘前大学, 人文学部, 教授 (20161490)
曽我 亨 弘前大学, 人文学部, 助手 (00263062)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
25,100千円 (直接経費: 25,100千円)
1999年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1998年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1997年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
|
キーワード | アフリカ / 牧畜社会 / 社会変容 / 近代化 / 内在的論理 / 問題解決 / 貨幣経済 / 民族間関係 / 市場経済 |
研究概要 |
アフリカの乾燥地域に分布する牧畜民は、家畜につよく依存する生活形態をとり、それに適合する社会や文化をつくりあげてきた。しかしながら近年になってアフリカ諸国が、世界資本主義の波にとりこまれながら国家としての統合を形成してゆく過程で、どちらかといえば辺境の地で生活してきた牧畜民の社会や文化も大きく急速に変容しつつある。 本研究は、ケニア北部とナミビア北西部の牧畜諸社会で、変動する社会環境に直面している人びとが、それを解決すべき新しい問題として認識・解釈し、対処する過程を解明することを目的とした。本研究では第一の作業仮説として、こうした外在的な要因によってもたらされた環境の変動を、人びとが解釈し、問題を発見して解決してゆく過程によって、さらに複雑で新しい状況が生み出されていると考えた。そして第二には、その過程にはそれぞれの社会に固有の内在的論理と牧畜社会一般に共通する論理とが関与していると仮定した。こうした視点から、具体的には家畜の商品化、家畜の所有や利用に関する権利の多様化、民族集団のアイデンティティの再定義、病気などの不幸への対処方法の多様化、男女間の諸権利や分業形態の変化などの変容過程をあきらかにすることをめざした。 この研究の結果、牧畜社会には民族の違いを越えて共通する「内在的論理」ともいうべき特質が存在すること、そして、それが外部からもたらされる「近代の論理」と衝突・葛藤をおこしていることがあきらかになった。「内在的論理」の特性は「柔軟性/便宜性」として総括できるが、これは、「固定性/規定性」を特色とする「近代の論理」と鋭く対立するものである。本研究では、こうした対照的に異なる二つの論理のあいだを往還しながら分析をすすめることによって、激変する社会環境を生きている牧畜社会を、より明確に理解できるとの結論を得た。
|