研究分担者 |
松島 健 九州大学, 理学部, 助手 (40222301)
小竹 美子 東京大学, 地震研究所, 助手 (60012944)
中尾 茂 東京大学, 地震研究所, 助手 (90237214)
CAMACHO Juan T. サイパン緊急管理局, 研究員
CAMACHO Juan サイパン緊急管理局, 研究員
KOSHIBA Frit パラオ測地局, 主任研究員
BEAVAN John ニュージーランド地質学原子核研究所, 上級研究員
|
研究概要 |
マリアナトラフの背弧拡大の検証と拡大速度の精密測定のため,北マリアナ諸島においてGPS観測の実施とデータ解析を行った.これらの島々では既に1992年と1994年の2回にわたり,別の日米共同調査などでGPS観測点の設置と第一回目の観測が実施されているので,本研究では,これらの観測点を再測することとした.観測を実施したのは,南からGuam,Saipan,Anatahan,Guguan,Pagan,Agrihanの6つの島である.観測は平成10年1月27日〜2月8日と平成11年2月2日〜2月11日に実施した.基線解析に際してはBernese softwareを用い,ITRF94に準拠した.Guam島の米国地質調査所に設置されているIGS観測点の他つくばや台北などの周辺のIGS観測点も取り込んで解析を行った.得られた各観測点の速度(ユーラシアプレート固定)から,さらに別途推定したフィリピン海プレートのオイラーベクトルから推定される各観測点での剛体的変位速度を算出し,これらの差を求めることによりマリアナトラフの拡大速度を推定した.その結果,北から,Agrihan(17.9mm/a,N91E),Pagan(25.2mm/a,N70E),Guguan(29.0mm/a,N73E)Anatahan(39.4mm/a,N76E),Saipan(45.8mm/a,N83E),Guam(57.9mm/a,N93E)という速度を得た.従って,北マリアナ諸島はフィリピン海プレートに対して東向きの変位場を持っており,マリアナトラフの拡大を強く示唆する.また,拡大速度は南に行くほど早く,拡大の極が北マリアナ諸島の北側にあることがわかる.ちなみに,マリアナ弧が剛体ブロックであると仮定してフィリピン海に対する回転の極を求めると(20.9N,144.8E)となった.以上の観測結果から,本研究の結果として,GPS観測によって北マリアナ諸島あるいはマリアナ弧はマリアナトラフの拡大の影響を受けて,フィリピン海プレートに対して東向きに変位していることが検証された.
|