研究課題/領域番号 |
09041135
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物資源科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
阿部 純 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00192998)
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研究分担者 |
山口 裕文 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20112542)
金澤 章 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30281794)
島本 義也 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00001438)
梅本 信也 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60213500)
蓋 鈞鎰 中国, 南京農業大学・大豆研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1997年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 野生ダイズ / 遺伝資源 / 遺伝的多様性 / 自生地保全 / 生態 / 植生 |
研究概要 |
本研究は、野生ダイズ(ツルマメ)の分布中心と周辺部の集団について、生態的特徴や遺伝的構造を明らかにし、この種の自生地保全に関する基礎情報を得ること目的とした。得られた成果は以下の通りである。 1)分布北限である極東ロシアの3地域58集団より種子を収集し、アイソザイム遺伝子座の変異に基づいてそれらの遺伝的構造や遺伝的変異の地理的様相を解析した。分布北限の集団は集団内の遺伝的変異性が著しく小さく、また特定の遺伝子で固定するなど特徴的な遺伝的構造を持っていた。一方、ハバロフスク市など都市部の集団やウスリー川流域およびウラジオストック地域の集団では比較的多様性が大きかった。集団の遺伝的多様性は、集団のサイズや密度には必ずしも関連せず、集団に及ぼす攪乱の程度などに影響ざれると推定された。 2)中国では分布周辺部である南部と中心である東部を調査した。中国南部ではツルマメは攪乱依存性植物と共存し,植生の管理と利用という人為的攪乱と自然回復という相反する生態的要因の微妙なバランスの状態のなかで維持されていると推定された。これらの地域では、家畜による適度の摂食が植生の遷移を制限し、その結果空白地からの回復の途にある場所をすみ場としているツルマメに安全サイトを供給していると推定された。 3)野生植物の保全または自然保護の視点では貴重な種は囲い込みや植物園での栽培によるのが良いと考えられてきたが,ツルマメのような攪乱依存性の遺伝資源植物の自生地保全では,住民による伝統的な管理慣行を継続しながら植生ごと保全するような管理が望ましいであろう。中国西南部での個体群数も個体数も小さいツルマメの維持が遺伝的変異の保存量とどのように係わるのかは不明であり、どの程度の攪乱がツルマメ集団の変異量や個体数の維持に適切かどうかを解明することが適切な自生地保全において重要である。
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