研究概要 |
平成9年度の本研究は,前2年間におけるカンボジア国首都圏におけるHIV感染危険集団の性行動調査と関連するものであるが,それを更に発展させ,“(1)"地域をタイ国境のHIV流行地域のBantey Mean Chey州での直接売春婦(DCSW),間接売春婦(ICSW),男性顧客の性行動調査,“(2)"直接・間接売春婦の血清材料による性病等(HIV,B型肝炎,クラミジア,梅毒等)抗体検査を実施し,これら危険集団の性行動とHIV/STDの罹患の関係を調査するものである。 性行動調査は,既に相手国共同研究者により1997年6月に全て終了した。面接調査終了者は,DCSW204名,ICSW96名,顧客200名であった。これらの成績は8月に相手国より研究者1名を招へいし,鳥取大学で解析・検討した。血清学的検査の中で,HIVスクリーニング検査(EIA),梅毒(TPHA),B型肝炎(HB抗体,HB抗原)の3疾患4項目の検査については相手国において行われた。DCSWではHIVスクリーニング陽性率54%,梅毒TPHA8%,HB抗原9%,HB抗体35%,ICSWではそれぞれ,23%,3%,5%,34%であった。HIV抗体陽性者におけるTPHA陽性者は,DCSW,ICSWでそれぞれ11.2%,9.5%であった。 HIV抗体確認検査(Western-Blot)およびクラミジア検査はその検体を日本に持ち帰り,日本側の手により検査を実施している。DCSW,ICSWのクラミジア・トリコマティス抗体陽性率はそれぞれ,81.7%,55.3%であった。HIV抗体陽性者におけるクラミジア・トリコマティス抗体保有者は,DCSW,ICSWでそれぞれ89.9%,85.7%であり,HIV感染とクラミジア感染の関連を示唆するものであった。
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