研究分担者 |
FREUDENBERG ダブリュー ブランデンベルグ技術大学, 数学科, 教授
井上 啓 東京理科大学, 理工学部, 助手 (70307700)
渡邊 昇 (渡邉 昇) 東京理科大学, 理工学部, 講師 (70191781)
明石 重男 新潟大学, 理学部, 助教授 (30202518)
小嶋 泉 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (60150322)
KOSSAKOWSKI エイ コペルニクス大学, 理論物理, 教授
LUBEC G ウィーン大学, 医学部, 教授
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研究概要 |
情報力学は,エントロピー理論から端を発した複雑さと力学の融合した理論であり,様々な分野の複雑さを統一的に扱うことができることやその情報の伝達を取り扱うことができるといった特徴を持っている.本年度は,この情報力学の視点から以下のような研究を行った:(1)量子計算では,エンタングルド状態と呼ばれるいくつかの量子状態を重ね合わせた状態を用いるのが特徴となっている.これを用いると因数分解等を高速で行うアルゴリズムを作ることができる.こうしたエンタングルド状態の定式化とそれらの分類を厳密に行った.(2)量子コンピュータに関する研究の一つとして,その光学的モデルとして考案されたFredkin-Toffoli-Milburn(FTM)ゲートにおける状態変化の様子を量子チャネルとして新たに記述し,さらにはその回路の持つ情報伝送の効率を量子相互エントロピー厳密に調べる研究を行った.(3)カオス力学系は情報理論の視点から見ると,複雑な挙動を示すある通信過程と考えることができる.本研究では,情報力学をベースにして新たな尺度(カオス尺度)を導入し,ハイゼンベルグ方程式の時間離散化,古典的なカオス力学系の量子化及び量子系におけるある種の非線形変換等を行うことによって,その対応する量子力学系がカオス的な振る舞いをするかを調べた.(4)患者がAIDSを発症したときに変化すると考えられているCD4値や免疫等の変化の過程を情報力学の複雑さの一つであるカオス尺度を用いて解析し,AIDSの発症時の特徴を調べた.(5)量子場の理論の立場から,量子力学における観測問題やミクロ・マクロ変換の問題に関する研究を行った. 以上の研究を通して,情報力学が内包する統一的なものの捉え方が様々な分野を研究する上で非常に有益であることが再確認された.
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