研究分担者 |
岑 章志 中国清華大学, 工学部, 教授
岩松 幸雄 福島工業高等専門学校, 校長 (10160136)
原田 隆郎 茨城大学, 工学部, 助手 (00241745)
沼尾 達弥 茨城大学, 工学部, 助教授 (90164649)
福澤 公夫 茨城大学, 工学部, 教授 (50165271)
CEN Zhangzhi Tsinghua Univ., Professor
|
研究概要 |
本研究は,既存大規模脆弱構造物の実態を調査することによって,耐震補強計画の支援システムおよび最適化維持管理システムの構築方法を検討すると共に,改造前の構造物に対するレーザーや赤外線技術および圧電セラミックスのセンサー・アクチュエータ作用を活用した非接触計測と改造後のハイブリッド炭素繊維シートの環境適用性によるセンサ機能を統合することによって都市システムにおける大規模脆弱構造物内部の損傷場所・程度・寿命などの実時間計測・解析モニタリングシステムを構築すること,さらに実用化された適応制御システムの開発とハイブリッド繊維(FRP)シートの適用設計による補強・改造部分のアクチュエータ(自己修復・減衰・靭性向上)機能の活用により構造物の知能化改造設計方法の確立を目指すものである.次のような研究成果が得られた。 1)初年度において提案された非接触レーザー振動計測システムを改良し,構造物に貼り付けた炭素繊維シートの浮き・剥離の非破壊検査の汎用性および定量化に関する検討を行い、界面欠陥の測定法を確立できた;2)赤外線技術を活用した熱イメージ法を発展し,コンクリート構造物における鉄筋腐食などの内部劣化場所を検出するための非破壊検査法を引き続き検討すると共に、構造物に貼り付けた炭素繊維シートの浮き・剥離の非破壊検査に関する適用可能性が確認できた。また、界面剥離の自己検査機能を実現するため、接着界面にあらかじめ埋め込む金属電熱線材による加熱法を提案し、その適用性を確認できた;3)初年度に開発された圧電セラミックスのセンサー・アクチュエータ効果を利用したインピーダンス計測装置を用いて,構造内部亀裂の発生の前兆および進展状況などを計測する実験的研究を行い、モニタリングシステムとしての妥当性を実証した;4)既存構造物の補強・改造部位にFRPシート接着補強工法から発展する緊張方法に基づき,各種FRP材質,接着計画および緊張程度を活用した知能化改造設計を行うための理論体系を最構築し、FRPシート材緊張により補強された構造システムの振動低減特性、減衰特性を実験的検討し、補強効果に関する定量的な評価手法を提案した;5)ハイブリッド補強材により補強された構造部材の応力集中の緩和効果、センサ・アクチュエータ機能を実験的に確認できた;6)改造や補強によって複合化された構造物の界面亀裂などを追跡するための破壊力学的モデルを提案し、有限要素・境界要素解析法による数値解析を実用レベルまで構築した.また、炭素繊維シート接着界面の接着特性の改善方法を提案できた;8)有限要素・境界要素解析法による離散化逆解析手法および最適化問題の求解法として相互結合型ニューラルネットワークモデルを発展し,構造物の全体および局部的,さらに静的および動的実測情報による一般化されたモニタリング情報解析システムと知的適応制御アルゴリズムに関する研究を引き続き行い、理論体系の構築および大型で複雑な構造物への適用を試みた;9)ニューラルネットワーク理論による大型構造システムの知的適応振動制御アルゴリズムを発展し、その実用可能性が示唆されている。
|