研究分担者 |
佐々木 隆之 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (60314291)
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (90178145)
菅原 正孝 大阪産業大学, 工学部, 教授 (60026119)
KOERNER Roy カナダエネルギー鉱山, 資源研究所, 部長
SANTRY Dalla カナダ国立科学研究院, 主任研究員
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配分額 *注記 |
26,100千円 (直接経費: 26,100千円)
1999年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1998年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
1997年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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研究概要 |
カナダ万年氷河を用いて、(1)自然(主に火山噴火)が寄与している地球規模環境汚染物質、(2)人間活動が寄与している地球規模環境汚染(主に大気圏核爆発)物質、(3)自然と人間活動が寄与している地球規模環境汚染物質の地球規模輸送の相関関係、の3部分野における研究成果を得た。 (1)では、2m間隔という極めて接近した場所で得られた2本のアイスコアの電気伝導度データにおける相違点と類似点を計算機を用いて解析した。その中で、最後の氷河期の終わりが11640年であること、数多くの歴史的火山噴火の時期を、グリーンランドのデータと比較して、北極エレズメア島でも決定できたことは特筆すべきである。(2)では、1945年の長崎原爆に始まるプルトニウムとセシウムの降下量を定量した。また、(3)では、(1)と(2)で得られた知見を総合的に解釈した。雪氷コアに含まれるプルトニウム等の人工放射性核種と過去の火山灰起源と考えられる硫酸イオンなどのデータを基に、これらの拡散現象を比較したところ、拡散の程度が驚くほど類似していることが分かった。また、この拡散の仕方は、発生元の高度(地下・海上等)や、緯度にも関わりがあることをつきとめた。 以下に、年度別の活動内容を要約する。平成9年度は、雪氷水の分析項目多元化のため、(1)試料の保存やコア切断等の前処理に当たって発生する試料の汚染ないしは劣化を防止する方法を模索した。水中の不純物元素濃度とその低減対策:当実験所で得られる高純度水の主成分Na,K,Mg,Ca,Al,Feの濃度は0.04-0.03ppbであり、雪氷コアの分析前処理には、概ね差し支えはなかった。清浄度クラス100環境下での水採取容器の酸洗浄、クラス10,000の環境では、いったん開封した水はたえず新鮮なものに交換すること、等の注意が必要であった。平成10年度は、分析項目毎の試料消耗量を必要最小限化するための検討を行った。微量濃縮ネブライザやシールドトーチを取り付けることにより、1から7pptの検出限界値がえられ、試料消耗量も1回の分析あたり60μl程度に低減化できた。平成11年度は、直径10cmの1本のコアの約1cm厚さの各氷層から、プルトニウム、セシウム、酸素同位体、主たる不純物成分(Na,K,Mn,Ca,Mg,Fe,Al、SO_4^<2+>,NO_3,Cl,F等の陰イオン)、さらに極微量不純物成分の全ての分析データを得て、上記3分野を総括した。
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