研究課題/領域番号 |
09044294
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究分担者 |
ブルーム エダ T. 米国食品医薬品管理局, リサーチセンター, 室長
山内 清明 京都大学, 医学研究科, 助手 (00291427)
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
BLOOM Eda T FDA, CBER, Lab. Chief
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1997年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | インターロイキン / 肝癌 / 遺伝子治療 / インターロイキン12 / アデノウイルスベクター / HVJ-liposome法 / HVJ-cationic liposome法 / インターロイキン2 / 肝類洞内リンパ球 |
研究概要 |
FDAのDr.Eda T Bloomとの共同研究として、IL-12の肝癌治療における有用性を検討した。IL-12のin vivoにおける効果判定のモデルとして、ヒト原発性肝癌を想定して、thioacetamideの投与によりラット肝硬変を作成し、肝臓被膜下にsyngeneic hapatoma細胞AH66Fを移植した。同時にIL-12あるいは生食を腹腔に投与すると生食投与群では7周間後の腫瘍重量は2.2gであったが、IL-12投与群では0.7gであった。またIL-12は肝障害を誘発する危険性があるため、IL-12の投与量を減量するべく、IL-12とIL-2、あるいはIL-12とIL-18の協調作用を検討した。正常ヒト正常人末梢血よりNK細胞を分離し、IL-12とIL-18によるNK細胞の活性化を検討したところ、少量のIL-12の存在下でIL-18は相乗的に細胞障害活性と増殖活性を増強した。また、IL-12やIL-2などの抗腫瘍性サイトカインが効果的に働く細胞内環境を検討したところ、細胞内グルタチオン濃度が一定量以上存在する事が重要であることが判明した。すなわち、thioacetamideで作成した実験的肝硬変や、肝癌を合併したヒト硬肝変では、肝内リンパ球の抗腫瘍活性は極端に低下していたが、グルタチオンの前駆物質であるN-acetylcysteine(NAC)を添加することでvitroでのサイトカインによる抗腫瘍効果が正常域まで回復した。更に、上記のthioacetamideで作成した実験的肝硬変への移植腫瘍はIL-12とともにNACを腹腔内投与する事で、腫瘍重量は0.3gと正常肝に移植したレベルに抑制可能であった。一方、米国Genetics Institute社よりIL-12遺伝子(p40,p35)の供与を受け、p40,p35をpCAG GSにsubcloningし、pCAG p40及びpCAG p35の作製を計画した。さらにこれらをinpofectAMINE Plusを用いてヒト肝癌cell lineであるHep3Bにtransfectし、p40及びp35の発現をWestern blotingとELISAを用いてなお検討を加えた。予備実験としてX-gal遺伝子をpCAG GSにsubcloningし、尾静脈投与(2.5X10^9pfu)することにより約80%以上の肝細胞に遺伝子導入が可能であったが、細胞特異性を認めなかった。経門脈的投与では、同様の遺伝子導入効率を認めたが、門脈周囲に好中球浸潤を認めた。HVJ-liposome法の被膜下投与により約30%の肝細胞に遺伝子導入が可能となり、経門脈投与では、約10%の肝細胞がX-gal staining陽性となった。また、HVJ-cationic liposome法では、その陽電荷により細胞特異的な遺伝子導入が可能となり、非実質細胞に対するtar getingが可能となった。現在までにWestern blotingとELISAを用いてIL-12の発現は確認できていないが、これまでに得られた結果から、IL-18やNACを併用することにより、HVJ-liposome法などでの経門脈的投与でもIL-12の充分な効果が得られるものと考えた。
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