研究課題/領域番号 |
09044298
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
循環器内科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
遠山 正彌 大阪大学, 医学部, 教授 (40028593)
|
研究分担者 |
山下 俊英 大阪大学, 医学部, 助手 (10301269)
米田 託成 (米田 詫成) 大阪大学, 医学部, 助手 (70271179)
堀 修 大阪大学, 医学部, 助手 (60303947)
玉谷 実智夫 大阪大学, 医学部, 助教授 (30294052)
小川 智 金沢大学, 医学部, 教授 (90283746)
PINSKY David コロンビア大学, 医学部(米国), 助手
STERN David コロンビア大学, 医学部(米国), 正教授
島田 昌一 大阪大学, 医学部, 助教授 (20216063)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1998年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1997年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
|
キーワード | Oxygen regulated protein / stress response / hypoxia / molecular chaperone / Glucose regulated protein / Cardiac transplantation / ischemia / tragsgenic mouse / Oxygen / ストレス蛋白 / 小胞体 / 虚血 / 低酸素 / グリア細胞 / 神経細胞 / 虚血耐性 |
研究概要 |
アストログリアは中枢神経系の中で、虚血にきわめて強い細胞であることに注目し、培養アストログリアを低酸素暴露、新規ストレス蛋白ORP150(150kDa oxygen regulated protein)のクローニングに成功した。ORP150は小胞体に存在する熱ショック蛋白の類縁蛋白であり、小胞体に存在する既存のストレス蛋白であるGRP78(78kDa glucose regulated protein)やGRP94同様に、細胞保護因子として機能していると考えられる。本研究では、ORP150の細胞保護効果に関する基礎的研究を行い、さらに心移植時における、この細胞保護因子の応用に関する基礎実験を行った。 ORP150の分子シャペロンとしての機能を検討するために、遠位側尿細管上皮細胞由来のMDCK(Madin-Darby Canine Kidney)細胞を用いて、ORP150antisense antisense transformant(ORP150(-))株を樹立した。Wild typeのMDCK細胞では実際、ORP150が分泌蛋白であるGP80/ClusterinとER内で結合していた。そこで、pulse-chase法を用いたmetabolic labelingによる検討を行った。低酸素曝露されたORP150(-)株はwild typeに比べてGP80/ClusterinがERにretentionし、maturationが遅延する傾向を得た。このことは、ORP150が蛋白輸送やmaturationに重要であることを示唆している。 また、ATPクロマトグラフィーやATP kineticsを行い、ATPに対する親和性について検討した。その結果、ORP150は強いATP親和性を持ち、GRP78や94と比べて、より少ないATP濃度でGP80/Clusterinを解離させることが可能であった。このことからORP150はGRP78などと同様に強いATP親和性を持つだけでなく、これら分子シャペロンの中で最も効率の良い分子シャペロンであることが示された。 HEK(human embryonic kidney)細胞において、ORP150発現のできないcell lineを作成すると、このOP150(-)細胞では低酸素環境において、apoptosisに類似した細胞死が著しく加速され、ORP150が低酸素環境での細胞機能の維持に必須であることを示唆する。 我々は、アデノウイルスベクターによるORP150の発現が、神経細胞や心筋細胞の低酸素による細胞障害を軽減することを証明した。このマウスを用いて心移植を行うことにより、ORP150の発現が慢性期拒絶反応期に心筋保護作用を有することを示した。さらに、心移植慢性拒絶反応において、ORP150が心筋細胞を保護する可能性を検討するため、ORP150を強制発現させたトランスジェニックマウスを作成した。
|