研究課題/領域番号 |
09044301
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉崎 和幸 大阪大学, 健康体育部, 教授 (90144485)
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研究分担者 |
西本 憲弘 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (80273663)
ANDERSON Ken ハーバード大学ダナ, ファーバー癌研究所, 助教授
KUBAGAWA Hir アラバマ州立大学, 医学部, 助教授
ANDERSON Kenneth C. Dana Farber Cancer Research, University of Harvard, Associate Professor
KUBAGAWA HIi アラバマ州立大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 多発性骨髄腫 / IL-6 / SSI-1 / MAPK / STAT1 / STAT3 / ネガティブフィードバック / STAT / インターロイキン6 |
研究概要 |
多発性骨髄腫細胞の主要な増殖因子であるインターロイキン6(IL-6)の細胞内シグナル伝達経路は大きく2つの系が知られている。すなわち、gp130→Ras→MAPK→NF-IL6の系とgp130→JAK→STAT3→STAT1の系である。我々が見出したSTATs→induced STAT inhibitor-1(SSI-1)はIL-6の刺激によりSTAT1、STAT3のリン酸化を介して誘導され、STAT3のシグナルを阻害するネガティブフィードバック因子である。この分子はマウスで見出されたがヒト骨髄腫の病態にも関与している可能性がある。そこでヒト骨髄腫細胞株を用いてIL-6によるSTATl、STAT3のチロシンリン酸化ならびにSSI-1の発現の誘導の有無について検討した。またヒトSSI-1には自身も含め5つのfamily分子が報告されているが、それらの分子についてもその発現をRT-PCRにより検討した。今回検討した6種類の骨髄腫細胞は、IL-6によるSTAT3のチロシンリン酸化の有無により2群に分けることができた。STAT3のリン酸化が生じる群(U266、RPMI8226、OCI-My5)では、IL-6添加後60分をピークとする一過性のSSI-1の発現が認められたが、STAT3リン酸化が行わない群(Hs、ARH77、IM9)ではSSI-1はIL-6の刺激の有無に関わらず、恒常的に大量にSSI-1が発現されていた。SSI-2、SSI-3、SSI-4、SSI-6についてはその発現とSTAT3のチロシンリン酸化に明らかな相関は認められなかった。そこでSS-1の恒常的発現がIL-6によるSTAT3のチロシンリン酸化を阻害していることを確認するためセンスならびにアンチセンスのSSI-1RNAを導入した。IL-6によるSTAT3のリン酸化が生じるOCI-My5ではSSI-1遺伝子の導入により、STAT3のチロシンリン酸化は抑制され、一方、STAT3のリン酸化が生じていなかった.ARH77へのアンチセンスSSI-1RNAの導入によりIL-6添加によるSTAT3のリン酸化が出現した。このことからSSI-1の恒常的発現がある種の骨髄腫におけるSTAT1、3を介したIL-6シグナルの欠如の原因であることが確認された。IL-6による骨髄腫の増殖はMAPK系を介していると考えられるが、SSI-1がDKの機能阻害を介してMAPK系に影響する可能性もあり、SSI-1の強制発現による多発性骨髄腫の増殖阻害治療の可能性が示唆される。
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