研究課題/領域番号 |
09044319
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
濱崎 直孝 九州大学, 医学部, 教授 (00091265)
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研究分担者 |
HARASAKI Hir ケースウエスタン大学医学部(米国), 教授
BRUCE Lesley ブリストル大学医学部(英国), 主任研究員
TANNER Micha ブリストル大学医学部(英国), 教授
出原 賢治 九州大学, 医学部, 助手 (00270463)
康 東天 九州大学, 医学部, 助教授 (80214716)
TONNER Micka ブリストル大学, 医学部(英国), 教授
BLOOMBERG Gr ブリストル大学, 医学部, 主任研究員
大久保 研之 九州大学, 医学部, 助手 (40194097)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
1998年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1997年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | 疏水性膜貫通領域 / 膜貫通ドメインのカテゴリー分類 / バンド3蛋白質 / ポリトピック型膜蛋白質 / 疎水性膜貫通領域 / 膜蛋白質構造解析 / ペプチド構造 |
研究概要 |
本研究では典型的なポリトピック型膜蛋白質であるバンド3蛋白質を素材として、 1) 赤血球膜上に存在するバンド3蛋白質のin situでの構造解析、並びに、 2) イヌ小胞体分画と網状赤血球の細胞質分画を用いたCell-Free系での生合成機序、 について研究を行い2年間で次のような成果を得た. ポリトピック型膜蛋白質のドメインについて、「疎水性膜貫通領域」と「親水性膜外領域」という概念はHydropathy Predictionでは既存の概念である.しかしながら、バンド3蛋白質の構造と機能の研究をin situで行っている間に、この二つの概念では分類できないドメインがあることに気づいた.バンド3蛋白質のin situでの構造解析を蛋白質分解酵素や化学修飾剤を用いて行った結果、第1〜3番目の膜貫通ペプチド領域(TMl-3)と第6番目(TM6)、第10番目(TM10)の膜貫通ペプチド領域とが、残りの膜貫通ペプチドと違って脂質二重層の脂質部分と直接に接触しない状態で細胞膜に埋もれていることを実験的に証明することができた. この結果を踏まえて、我々はバンド3タンパク質の各膜貫通ペプチド領域について、小胞体膜における生合成過程でのトポロジー形成シグナルを検討した.その結果、TM2はTM1からある一定の近距離にある時のみ膜透過停止機能(stop-transfer activity)を発揮した.さらに、TM3とTM10は膜内トポロジー形成シグナル活性を全く持っていなかった.一方、TM4、TM6、TM8はNexo/Ccytトポロジー形成活性が強く、これら膜貫通ペプチド領域の一本前の領域を親水性のペプチドに変えても親水性ペプチド領域を膜内へ引き込むことが示された.このように、各膜貫通ペプチド領域は生合成過程でのトポロジー形成シグナル活性でも等価でないことが判明した. 以上の結果に基づいて、ポリトピック型膜蛋白質の膜内生合成機序、ならびに、膜内存在様式に関する新しい概念を発表した. ポリトピック型膜蛋白質の生合成機序および膜内存在様式 小胞体膜にポリトピック型膜蛋白質埋め込まれて行く機序は、Blobelが提唱したSA-11配列とSt配列とが交互に出現して膜内に埋め込まれてゆく説が一般的に広く信じられており、膜内トポロジーもSA-11配列とSt配列の経み合わせで規定されていると考えられている.しかしながら、我々が行ったバンド3蛋白質のin situでの構造解析の結果は、Blobelが提唱した生合成モデルではないintemal SA-1 Modelを提唱した.バンド3蛋白質で見られたこのような現象が特殊なのか、他のいろんなポリトピック型膜蛋白質で評価する必要がある. 膜貫通ペプチド領域は必ずしも疎水性である必要はない. 一回しか膜を貫通しないバイトピック型膜蛋白質とは違い、複数の膜貫通ペプチド領域を持つポリトピック型膜蛋白質では親水性ペプチド領域でも他の膜貫通ペプチド領域によって取り囲まれ脂質に接触することなくペプチド間相互作用で膜内に安定して存在することが可能になる.即ち、複数の膜貫通ペプチド領域を持つポリトピック型膜蛋白質では疎水性が膜貫通ペプチド領域の必要条件とは必ずしもならない、と考えられる. 以上の結果はポリトピック型膜タンパク質の生合成機構や構造と機能解析に重要な知見を加えるものと考えられ,今後の発展が期待される。
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