研究課題/領域番号 |
09044322
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平山 壽哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
|
研究分担者 |
MOSS Joel 米国国立衛生研究所, 部長
和田 昭裕 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70253698)
野田 公俊 千葉大学, 医学部, 教授 (60164703)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1998年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1997年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
|
キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / ADP-リボシル化酵素 / 細菌毒素 / 病原因子 / 細菌感染症 |
研究概要 |
我々は、ヘリコバクター・ピロリの菌体画分にmono-ADP-ribosyltransferase(ART)活性が存在することを示し、このARTが分子量約7万の蛋白質(P70)をADP-リボシル化することを明らかにした。このP70のどのアミノ酸が修飾を受けているのかを検討した。[32P]NADを基質としてP70に取り込ませた放射活性は、Hydroxylamine処理で遊離した。これは、ARTによってADP-リボシル化されたP70のアミノ酸はアルギニン(Arg)であることを示唆していた。P70をADP-リボシル化する反応液中にArgやArg類似体であるアグマチン(Agm)を加えると、濃度依存性にP70のADP-リボシル化が阻害された。P70のADP-リボシル化をほぼ90%阻害する濃度のAgm存在下では、Agm自体が強くADP-リボシル化されており、Agmを基質としてART活性を測定する方法、アグマチンアッセイが本菌のART活性を測定する際に利用できることが判った。LysateをSuperose 12カラムを用いたFLPCで分画後、得られた画分のART活性をアグマチンアッセイで測定すると、ART活性は分子量4万から8万の位置に溶出された画分に検出された。このARTがP70のアルギニン(Arg)残基をコレラ毒素と同様にADP-リボシル化することが判った。次に、抗潰瘍剤、rebamipide、がこうしたART活性にどのよう影響するか、また宿主細胞にどのようなADP-リボシル化を行うのかを検討した。[32P]NADを基質としてP70に取り込ませた放射活性は、反応液中にrebamipideを加えると、濃度依存性にP70の減少してADP-リボシル化が阻害された。P70のADP-リボシル化を50%阻害する濃度は1mMであったが、アグマチンを基質としてART活性を測定する方法においては約2mMであった。一方、本ARTが宿主細胞にADP-リボシル化を引き起こすかを前白血病細胞HL-60を用いて行った結果、50kDaの蛋白に著明なADP-リボシル化が引き起こされた。この50kDaの蛋白のADP-リボシル化部位がArgであるかどうかについてはさらに詳細な検討が必要である。P70の精製はLysateをSepharose Qカラムを用いたFLPCで分画後、1)phenylboronate column、2)ビオチニル化NADを基質としてアビジンカラムによる精製法を用いて行ったが、p70の完全精製には至っていない。また、本菌の唯一知られている空胞化毒素であるVacAにはART活性のないことも判った。
|