研究分担者 |
WEISEL John ペンシルバニア大学, 医学部, 教授
朝倉 伸司 自治医科大学, 医学部, 講師 (70245033)
三室 淳 自治医科大学, 医学部, 講師 (10221607)
諏合 輝子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60183844)
坂田 洋一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40129028)
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研究概要 |
1.遺伝性異常fibrinogen(Fbg)の構造・機能解析:国内・外から10余家系の異常分子を入手して構造及びその機能障害との関係を分析し,完了したものを逐次報告した(研究発表1,2,8).これらの中で特記すべきものとして,ドイツのMarburg大学(Prof.R.Egbring)から送付されて来たFibrinogen(Fbg)Marburgがある.この異常FbgはAα鎖遺伝子上でstop codonが早期に出現するため,Aα鎖は150アミノ酸だけ短い.この結果ジスルフィド結合の相手を失なったAαCys-442の一部には血清albumin(Alb)がジスルフィド結合している.活性型第XIII因子(XIIIa)存在下にトロンビンによってFbnに転換すると,このAlbの一部がXIIIaの基質として別のFbn分子のγ鎖に架橋結合する.また,形成されるFbn塊はプラスミンによって全く溶解されない.国内からの異常分子の中,Fbg Niigataでは新型の点変異(Bβ Asn 160→Ser)と,これにより新たに形成された糖付加配列の為にBβ Asn 158に2分岐アンテナ様構造を持つ糖鎖が証明された.この変異部は重合反応基から離れているので,機能障害との関連を分析中である. 2.異常分子の電顕学的分析:これまでに解析した異常分子の中から代表的な検体を選び,米国の共同研究者(Mosesson,Weisel 両教授)と電顕による超微細構造の分析を進めている.Fbg Marburgでは形成されるfibrin(Fbn)網は極めて細くしかも分岐に富む線維から成り,網目構造は緊密で水透過性が極度に不良である.血栓症と創傷治癒不全との関連から興味深い所見である.糖除去したFbg NiigataではFbn線維が異常に太く,分岐は殆ど消失した.Fbg Kurashiki(γ Glu 268→Gly)ではFbn分子間で縦列に進む重合が不良で,Fbn網は粗でしかも不規則である.しかし,22.5nmの幅を持つ縞状模様は正常に観察される.これらの成績がまとまり次第報告する予定である.
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