研究課題
基盤研究(C)
宇宙線空気シャワーの到来時間がカオス特性を持つことを示し、また、宇宙線カオス現象が地球規模の広がりを持つか否かを調べるために、イルクーツク大学(ロシア)のTUNKA-13空気シャワー装置の時系列データについて、相関次元によるフラクタル解析を行いカオス候補を探索した。得られた解析結果を次に示す。1.カオス解析は、1997年11月4日から1998年4月30日までの348有効観測時間の観測データ、総イベント数が2061キロイベントに対して行った。GrassbergerとProcacciaの方法により宇宙線時系列のインターバルデータを10次元まで埋め込み相関次元を求めた。その結果カオスの候補として、埋め込み次元が8のとき相関次元が4.8位にでる6例を選別することができた。カオスである時間は約5分から10分間であった。2.イルクーツク大学のデータと同じ観測期間中の近畿大学(東大阪市)の空気シャワーデータについても同様に相関次元を求めた。その結果、大阪のデータから9例のカオスが出現した。カオスである時間は約10時間であった。3.ロシアの6例のカオスのうちの4例は、約3200km離れた大阪でのカオス空気シャワーと時間帯が接近している同期イベントである。そのバックグラウンドの偶然確率は0.001の小さい確率である。特にイルクーツク大学のカオスと近畿大学のカオスは1998年3月28日に同時刻に発生した。4.したがって地球的規模でカオス空気シャワーが生じていると考えることができる。傾向として、カオスである空気シャワーは到来頻度およびエネルギーが通常のシャワーの場合と大きく差異を示すような事は無い。
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