配分額 *注記 |
157,600千円 (直接経費: 151,000千円、間接経費: 6,600千円)
2001年度: 28,600千円 (直接経費: 22,000千円、間接経費: 6,600千円)
2000年度: 21,000千円 (直接経費: 21,000千円)
1999年度: 21,000千円 (直接経費: 21,000千円)
1998年度: 30,000千円 (直接経費: 30,000千円)
1997年度: 57,000千円 (直接経費: 57,000千円)
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研究概要 |
ナトリウム利尿ペプチド(NP)系に関する比較分子生物学的な研究から,NP系の起源に迫るとともに,淡水と海水の間を往き来できる広塩性魚類の浸透圧適応にNP系が重要な役割を果たしていることを明らかにした。さらに,浸透圧調節に欠くことのできない塩類細胞が酸性適応や尿素代謝にも中心的な役割を果たしていることを明らかにした。細胞生物学分野で古くから探し求められていたチャネル分子の有力候補の同定にも成功した。具体的成果は以下のとおり。(1)魚類の浸透圧調節に関与するペプチドホルモンについてはまだよくわかっていなかったが,私たちはNP系が魚類の広塩性を支配する重要な内分泌系であることをリガンドと受容体の両面から明らかにした。これら即効性のホルモンは,既に存在するイオンや水の輸送体の活性を変化させることにより,急激な環境浸透圧の変化に対応する。NPファミリーは,さらに遅効性ホルモンであるコルチゾルや成長ホルモンの分泌を促進して,長期にわたり新しい浸透圧環境に適応できる体づくりをうながす。さらに,ユニークな浸透圧調節をおこなうサメやメクラウナギなどからNPファミリーを同定して,分子進化を明らかにした。(2)pH3.5という驚異的な酸性環境に適応している恐山ウグイの解析から,酸性適応時に誘導のかかる分子群を同定し,それらの大部分が塩類細胞に含まれることを明らかにした。(3)イオン輸送に必要な駆動力を供給するために,塩類細胞にはNa,K-ATPaseが豊富に存在する。この性質を利用し,Na,K-ATPaseと共役すると推定されるKチャネルを同定することに成功した。このKチャネルは生理学上極めて重要で長らく探し求められていたものである。(4)ウナギのエラにおけるNP受容体の局在部位の研究から,骨代謝とNP系の密接な関係を明らかにし,哺乳類を含めた骨形成研究に新分野を開いた。
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