研究概要 |
今までに開発したアルゴリズムを基に,さらに高精度化、高速化に向けてその改良を行うと共に新しく浮世絵の中でも役者絵を対象にし,そこに描かれている人物を推定するための特徴量を定義し,計算機実験を行った。その結果,ユーザがペンで自由に描いた人物像から、あるいは印象語と併用してデータベース(DB)を検索したり,その人物が描かれている,あるいはその人らしい絵画を取り出し,提示できる可能性を示すことができた。まず、輪郭線をベゼ曲線を用いて近似し、制御点のマッチングにより浮世絵に描かれた役者の同定と分類を行った。顔の各部分(左右の目、鼻、横顔の輪郭など)および全体から人物の類似度を計算し、その値を用いて同じ役者かどうかの判定を行った。その結果、適当なしきい値を設定することにより、うまく役者を識別することができた。また、同じ手法が正面写真に限れば、人物同定にも利用できるという結果も得られている。ここで、類似度の計算は、制御点間の距離を基本にしており、輪郭線全体にわたる必要性がないので、高速かつ柔軟なマッチングを行える利点を持つ。また、領域特徴を用いれば、"面長"、"丸い顔"などの印象語による対応を付けながら第分類できるので、安定した分類手法として使えることが分かった。本手法は、最初は、イメージインデッキシングの例として、浮世絵における人物の同定に使うことを念頭に置いて開発されてきた。しかし、絵画DBに限らず、より広い意味で線画イメージによるDB検索、さらには3次元物体(遺物・遺跡など)の形状解析にも利用できるものである。今後、これらの成果をどう有機的に結びつけて全体として柔軟なマルチメディアDBシステムを構築していくかが大きな課題である。
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