研究概要 |
1,前方後円墳の形態研究において、『ものさし』の長さの推定を行う研究の特徴を明らかにし、解決すべき課題を明らかにした。 本研究で最も深刻な問題となるのは『(1)作図方法が解明されていないこと。』、『(2)ものさしの長さを推定するのに使用する計測値の信頼性が不明であること。』である。 2,作図方法が明らかな後円部半径を、宮内庁書陵部所蔵のオリジナル縮尺の測量図を用いて、高精度デジタイザを使用して区間推定を行った。 99,5%信頼区間を推定した結果、ほとんどの推定値で信頼区間の上限と下限の差が1m未満の信頼できうる計測値が求められたことがわかった。 3,後円部半径計測値を用いて後円部段築筑の規格性を考案した。次に、前方部の作図方法に関して仮説を立て、前方部の計測値を求め、前方部段築の規格性を考察し、最後に、後円部墳丘段築の規格性と前方部段築の規格性を総合して、規格性を生み出す技法について考察を試みた。その結果、以下のような結論を得た。 (1)後円部半径は、原則として、上段:中段:下段=3:4:5に設計された。 (2)前方部前面奥行き長と稜線長は、原則として、その比が2:3に設計された。 (3)前方部前面奥行き長は、原則として、上段:中段:下段=2:3:4に設計された。 (4)一段目の墳丘の規模が与えられているとき、その規模が比例関係と形作るのに割り切れない場合、一単位の大きさを切り捨て、もしくは切り上げることによって近似値で2段目、3段目墳丘が築造された。
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