研究概要 |
今年度は、本研究の第三段階として、昨年度の改良作業の結果を踏まえ、ハリスらの最適食域モデル(Optimal Diet-Breath Mode1)(Harrris & Ross (ed.),1989)を拡張することにより、狩猟採集から農耕への労働力の遷移を説明するモデル(原・植木1997a,c)を作成し、これにより狩猟採集から農耕への労働力の遷移を解明した。さらに、このモデルを、ボスラップ(Boserup,1965,1981)の農耕社会における労働集約化と人口成長を説明するモデル(原・植木1996)に結合、狩猟採集から農耕への労働力の遷移と、その後の、農耕労働力の集約化による土地生産性の上昇、これにともなう人口成長率の急激な高まりという、いわゆる農耕革命の一連のプロセスを再現する総合モデルを構築、シミュレーションを行い、農耕革命が自然発生するメカニズムとその条件を解明することができた。 これらの成果は、『第4回 日本情報考古学会』(97年9月: 国立歴史民俗博物館)、『第3回 シンポジウム一人文科学における数量的分析』(98年3月: 文部省統計数理研究所)『第5回 日本情報考古学会』(98年3月:奈良先端科学技術大学)において発表した。また、この作業と平行して、昨年度の成果を論文化し『情報考古学』VOL 3(2)に掲載するとともに、『日本計量行動学会第25回大会』(97年9月:仙台市戦災復興記念館)で研究プロジェクトを紹介、また、これらの成果を発信するためのホームページも開設した。 最終年度では、以上の成果に、地理的情報を加え、先史時代ワールドモデルの最終版を完成させるとともに、このモデルから得られた知見を論文及び著作としてまとめる予定である。
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