研究課題/領域番号 |
09205207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
曽田 三郎 広島大学, 文学部, 助教授 (40106779)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 近代国家 / 官制編制館 / 地方自治制度 / 憲政編査館 |
研究概要 |
本研究が中心に扱っている時期は一般にいわゆる辛亥革命時期に相当し、これまで君主制から共和制への変化が強調されてきた。本研究ではむしろ中華民国成立前後の連続性に留意し、近代国家としての統合を可能にする地方政治制度の整備という観点から当該時期の政治史を分析し、以下のような成果が得られた。 1 清朝は20世紀に入って立憲制の採用を決定するが、その準備のための一つの重要な課題が地方政治制度の改革であった。地方政治制度の改革にあって、実際に立案を担当したのは官制編制館であったが、なかでも中心的な役割を担ったのは日本留学経験者であった。この改革案においてはじめて地方自治制の導入が提起され、また省政については行政の専門的分化の方針が盛り込まれた。 2 政治制度改革案の実質的策定集団が日本留学経験者によって構成されている点は、官制編制館が改組して成立した憲政編査館も同様であった。憲政編査館は中国が立憲君主国家に移行するために必要な諸政策の立案に従事したが、地方政治制度の面に関する重要な関与は「各省官制通則」の策定である。この「通則」には、地方自治制に加えて、行政の専門的分化と合議的運営のための省政組織の導入が盛り込まれていた。 3 中華民国が成立して後、袁世凱は地方政治制度の統一を指示する大総統令を公布したが、その内容は法制局で起草された改革案を基礎にしていた。法制局の構成員にも日本留学経験者は多く、憲政編差館の館員との重複もかなり見られた。この大総統令は地方行政の専門的分化と合議的運営という清末以来の改革案を継承しつつ、軍民分治主義の採用と外交、司法、財産権の回収によって地方に対する中央の優位性を担保しようとしていた。 ここに見られる一連の改革の過程は、中国における近代国家形成にふさわしい地方政治制度の整備であった。
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