研究概要 |
大学生を対象とした2種類のパーソナルネットワークデータを収集し,既存の社会ネットワークデータ(17人の被験者の16週(1回/週に調査)のパーソナルネットワークデータ)と併せて分析した.大学生を対象としたデータは,いずれも1回/週データ収集を行った.被験者の人数は,1つが約50名(11週).もう一方が11名(12週)である.3項目,(1)直接でない対話や連絡(電話,留守電,E-mailなど),(2)直接の対話,(3)今後親しくしたいか,について全対象者間の回数や程度を調査した.友人選好度の予測法を既存の社会ネットワークデータに応用し,友人選好度の予測を行った.友人選好がある程度の精度で予測可能であることを示した.大学生から収集したデータを非対称多次元尺度構成法により分析した結果は,直接であれ直接でないものであれ,対話や連絡の回数は少なく,また,ほぼ対称であった.非対称性が見られるのは親しくしたいかという項目であり,とくに,男女間の非対称性は時間の経過による変化が少なく,男女内での非対称性の時間の経過による変化が大きい.友人選好度の予測に用いた方法は,筆者らが開発したものであり,マーケティング・サイエンスにおける購入数の予測に用いる方法にもとづいている.非対称多次元尺度構成法も,筆者らが開発したものであり,2相3元データに対応し,時系列データの分析が可能である.具体的な対話や連絡よりも心理的な面での非対称性が大きく,パーソナルネットワークの形成においては,今後の検討課題として重要である.そして,心理的な面と具体的な対話や連絡により形成されるパーソナルネットワークとをどのように結びつけるかということも今後の課題である.
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