研究課題/領域番号 |
09207211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 和生 京都大学, 文学研究科, 助教授 (80183101)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 生物的運動 / 物体の統一性 / 衝突時の因果関係 / 顔認識 / 感覚間統合 / 素朴物理学 / ニホンザル / 比較発達 |
研究概要 |
ニホンザル乳児3頭に次の5種の初期知識に関するビデオを見せた。(1)生物的運動(ヒトとニホンザルの歩行をコンピュータ処理で関節点の動きに変えたもの、その倒立映像、関節点の位置をでたらめにしたもの、及びその倒立)、(2)物体の統一性(帯の上下を2つの部品が同期して運動した後、帯が消失する。そのとき上下の部品が一体である映像とそうでない映像)、(3)物体衝突時の因果関係(ある物体が大きな物体の背後に隠れ、弾かれるように別の物体が出てくる。その後大きな物体が消失すると第1の物体が第2の物体に衝突している映像と衝突していない映像)、(4)顔図形(正常配置の線画、スクランブル、他、及びそれらの倒立)、(5)音と動きの同期性(木の箱をパイプで叩く映像。叩く動作と音が同期しているものと同期していないもの)。手続きは継時偏好注視法で、サル乳児を実験者が垂直に保持し、上記の刺激を30秒ずつ提示し、注視時間を測定した。実験は生後0日齢から14週齢になるまで、2週間あるいは4週間の間隔をおいて反復した。その結果、ニホンザルの生物的運動の認識については明瞭な結果が得られなかったが、ヒトの運動については,生物学的な脈絡を持った運動とそうでない運動が6-10週齢くらいで区別できるようになるらしいことが示唆された。物体の統一性に関しては、ヒトと同じような偏好の変化が見られたが、その変化の時期には大きな個体差があった。衝突時の因果関係に関しては、4-8週齢のときにそれが認識される傾向を示したが、あまり明瞭ではなかった。顔図形では、ニホンザル乳児が顔の線画を「顔」と認識していない可能性が示され、Conspec、Conlearnというヒトの顔認識メカニズムがサルにも当てはまるのかどうかに疑問が提示された。視聴覚刺激では、ニホンザルは2週齢という早期からおとなと同じように視聴覚の同期性を認識していることが明らかにされた。
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