研究課題/領域番号 |
09207229
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
加我 牧子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・精神薄弱部, 部長 (20142250)
|
研究分担者 |
宇野 彰 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・精神薄弱部治療研究室, 室長 (10270688)
稲垣 真澄 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・精神薄弱部診断研究室, 室長 (70203198)
|
研究期間 (年度) |
1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 特異的発達障害 / 認知機構 / 神経生理学 / 認知神経心理学 / 機能画像診断学 / SPECT / 局在性脳機能障害 / 事象関連電位 |
研究概要 |
発達障害児の認知機構の神経学的基盤を明らかにするにあたり、今年度は特に読み書きに関する学習障害児すなわち局在性大脳機能障害を呈する特異的発達障害児について検討を行った。対象は特異的漢字書字障害児2例(症例1-12歳、症例2-13歳)、および特異的読み書き障害児1例(症例3-7歳)である。理学的神経学的所見には異常を認めず、全体的知能は正常であることを確認し、読み書きを中心に児の神経心理学的ならびに認知神経心理学的評価を行った。神経生理学的検査として脳波、聴覚および視覚誘発電位、聴覚および視覚事象関連電位検査(ERP),機能画像診断学的検査としてMatsudaの方法によりSPECTによる局所脳血流測定を行った。 その結果 漢字書字障害に加えて症例1では複雑図形の記憶再生の障害、症例2ではその上に未知漢字や複雑図形の複写、図形の再生課題の障害、視覚認知障害がみられた。この2例は純音及び語音を用いた聴覚ERPには異常を認めなかったが既知漢字、未知漢字、無意味複雑平面図形を作成して課題とした視覚ERPでは潜時延長のパターンが異なり漢字や図形の情報処理が異なっている事が示唆された。またSPECTでも成人の後天性脳障害による漢字書字障害例と共通した側頭葉後下部に加えて症例2では左後頭葉領域の血流低下がみられた。特異的読み書き障害を示した症例3では聴覚ERPと上記の視覚ERPは正常でさらに複雑な平面図形のペアを課題に加えることで健常児と異なった反応パターンを示した。SPECTでは左角回を含む下頭頂小葉の血流低下が確認された。 以上のように神経心理学的評価、神経生理学的検査さらにSPECTを用いた機能画像診断学を総合して児の障害機構の差異を明確にできた。これらより個別の指導法・訓練法の開発を考慮することができ背景にある神経機構を明らかにすることの重要性が示された。
|