研究課題/領域番号 |
09208214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
松村 博文 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (70209617)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 縄文人 / 弥生人 / 渡来系 / 土着系 / 歯 |
研究概要 |
大陸より渡来したと考えられている北部九州および山口地方の弥生人の骨格形態が、土着の縄文人と大きく異なることは周知のとおりでる。本研究では、まず第一に、歯の形態から渡来系弥生人が縄文人とどの程度まで判別可能なのかを分析した。その結果、縄文人と渡来系弥生人は最大90%以上の正答率で判別することが可能であった。 次にこの結果を応用し、日本列島から発見されている他の弥生人骨について、土着の縄文人と渡来人のどちらの特徴が強いかの判別を試みたところ、広島県帝釈名越の1例は渡来系、愛媛県の釈迦面山の1例は土着系、奈良県の唐古・鍵遺跡の2例は渡来系、長野県の伊勢宮遺跡の7例中6例が渡来系、篠ノ井遺跡の3例がすべて土着系、群馬県の岩津保遺跡の2例のうち1例は土着系、他の1例は中間型、神奈川県の毘沙門洞穴の3例のうち2例は渡来系、1例が土着系、千葉県房総半島の佐野洞穴と安房神社の5例すべては土着的要素が強いと判定された。以上の結果から、少なくとも東海地方および関東西部の太平洋岸地域,あるいは長野県にいたる中部地域にも渡来人の遺伝的影響が相当な程度まで及んでいたことが示唆された。 一方、渡来系弥生人の起源については、同じく歯の形態の比較から、中国江南地域の前漢時代の人々に強い類似がみられ、この地域が弥生人の原郷の有力候補地であることが示唆された。縄文人の歯の分析からは、後期旧石器時代の東南アジアに起源が求められる結果となった。
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