研究課題/領域番号 |
09208215
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
今西 規 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 助手 (80270461)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 遺伝子頻度 / 遺伝距離 / 系統樹 / 移住 / 集団遺伝学 / 移住率 / データベース |
研究概要 |
生物集団の進化の研究では、遺伝子頻度から集団間の遺伝距離を推定し、さらに系統樹を作成することがある。この方法の適用には、集団間の移住や融合は起こらないことが仮定されているが、この仮定が常に成り立つ保証はない。そこで、集団間の移住が遺伝距離に与える効果を、簡単な集団遺伝学的モデルを使って定量化した。まず、2つの集団の間で移住が起こり、m(《1)の割合の個体が両集団間で交換された状況を考える。このとき、移住が起こる前後での遺伝距離(Modified Cavalli-Sforza's Distance:D_A)の変化を近似的に導いたところ、遺伝距離はmに比例した量だけ必ず減少することがわかった。さらにこのとき、別の集団との間の遺伝距離は、増加する場合と減少する場合があることがわかった。具体例でみると、HLA-DRB1とDQB1の遺伝子頻度(Bannai et al.1996)から求めたアイヌと本土日本人の間の遺伝距離は、0.235であった。もしこれらの集団間でm=1%の移住が起こったとすると、遺伝距離は0.213となり、9.2%も減少する。この例で明らかなように、移住によって集団間の遺伝距離は大きく影響を受け、正確な系統樹の作成のためには深刻な問題となりうる。この問題を回避するには、集団間の移住率を推定し、それに基づいて集団進化を解析する方法の開発が必要である。 また、日本人の起源の研究に寄与するために、東アジアの人類集団の遺伝情報を収集し、「東アジア・ヒト遺伝情報データベース」としてデータベース化した。これには、血液型、血清タンパク、赤血球酵素などの古典的遺伝標識の遺伝子頻度を、論文の文献情報とともに1848件収録した。データベースは希望者に配布するとともに、インターネット上で公開している(http://ima-pm95.genes.nig.ca.jp:591/)。
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