研究課題/領域番号 |
09210206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
白田 耕蔵 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80164771)
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研究分担者 |
桂川 眞幸 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (10251711)
鈴木 勝 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20196869)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 量子団体 / 非線形光学 / 誘導ラマン散乱 / 量子干渉 / 団体水素 |
研究概要 |
平成8年度よりレーザー場による光学応答の制御の研究を高密度の凝縮系;個体系、へ拡張する試みを開始した。作業物質として固体水素を用いることにより、孤立原子・分子系の量子性と固体の高密度性を兼ね備えた状況が実現し、水素原子系で実証してきた量子干渉効果を用いる非線形光学の研究が従来の原理実証の限界を越えて発展できる見通しを得た。 強結合を達成するための要点は、2光子遷移のラビ周波数がその遷移の位相緩和速度を越えることであり、そのためには系の位相緩和速度が遅いことが本質的に重要である。本年度においては、固体水素の振動励起準位の位相緩和速度をポンプ・プローブ型のコヒーレント反ストークスラマン散乱法により測定した。2台のレーザーを用い、1台のレーザーで誘導ラマンを立ち上げ、コヒーレンスを発生させ、もう1方のレーザーとそのコヒーレンスのビ-ト光を反ストークス光として測定した。測定は、通常の位相整合条件を満たす反ストークス光(リング)及び強結合に基づく自動位相整合反ストークス光(スポット)について行った。リングとスポットによる緩和の振る舞いは大きく異なり、スポットによる信号は緩和速度(ラマンのスペクトル幅)にして3MHzFWHMであるのに対し、リングの信号は3MHzFWHMから70kHzFWHMへと大きな変化を示すものとなった。この解釈はいまだ確定していないが、弱結合から強結合へ相互作用が発展するに連れて、励起状態の分子数密度が上昇し、それにより励起状態間の相互作用により緩和速度も速くなることを反映しているものと思われる。今回の結果は固体水素の振動励起状態の緩和速度が固体としては異例に遅いことを示すものであり、固体水素の強結合非線形光学の可能性を示すものである。また、緩和速度が変化するという結果は強結合へのシステムの発展を定式化する上で極めて示唆的である。
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