研究課題/領域番号 |
09212209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60159019)
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研究分担者 |
山本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10200809)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 相分離 / 粘弾性効果 / 粘性異常 / 数値シミュレーション / 高分子溶液 / 臨界現象 / 個別運動 / 動的対称性 |
研究概要 |
これまで、高分子溶液等の流体系における相分離様式は、流体モデルにより例外なく記述されると信じられてきた。しかし我々は、系を構成する2種類の分子の動的性質が著しく異なる場合において、粗大化を伴わない安定な粒子状相分離や、ネットワーク構造の形成などといった流体モデルでは記述できない現象を発見し、それを粘弾性相分離現象と名付けた。また、高分子溶液のみならず、ガラス転移温度が大きく異なる高分子混合系においても、同様の相分離現象を見出し、この現象が普遍的なものであることを指摘した。本研究では高分子溶液系の臨界点近傍における臨界挙動、粘性異常に注目し、臨界揺らぎに対する粘弾性効果について明らかにしたい。また、粘弾性効果を取り入れた相分離現象の数値シミュレーションを行い粘弾性相分離を支配する物理的因子についての理解を深めることを目的とする。本研究では、当初の予定どおり、以下の様に研究を進めた。 (1)高分子溶液系の臨界減速・粘性異常の実験的研究:高分子溶液(主にPS/DEM)系における、臨界点近傍での臨界減速や粘性異常の測定を、特に分子量依存性に着目して行なった。臨界減速は、準弾性光散乱を中心に測定した。この動的光散乱による濃度揺らぎの周波数依存性・波数依存性の測定に加え、レオメータによる粘性異常を測定することで、高分子溶液系における、物質固有の緩和モードと臨界緩和モードの関係を定量的に明らかにした。 (2)粘弾性相分離現象の数値シミュレーション:粘弾性相分離を記述する基本方程式は、土井・小貫等によって既に得られている。我々はこれらの式を、数値的に解くことで、粘弾性相分離の発現に必要な要因を明らかにした。これまで粘弾性相分離を実験的に研究してきた我々が、独自の視点で数値シミュレーションを行い、観測された様々な現象を理論的に再現することにより、粘弾性相分離のメカニズムに対する新しい視点を構築することができたと考えている。
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