研究課題/領域番号 |
09214201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
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研究分担者 |
大河内 直彦 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00281832)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 黒色頁岩 / 白亜紀 / 安定窒素同位体比 / 脂肪酸 / 安定炭素同位体比 / 植物プランクトン / 有機炭素 |
研究概要 |
中部イタリアで採取された白亜紀セノマニアン/チュロニアン境界の黒色頁岩およびその周囲に分布する岩石に関して、炭酸塩の炭素・酸素同位体比、有機炭素および窒素同位体比、さらに硫黄の同位体比の測定を終えた。その結果、黒色頁岩層で有機炭素の同位体比は2‰に近い振幅をもつ正のスパイクを示し、窒素同位体比は-2‰という非常に軽い値にまで達する負のスパイクを示すという事実を見出した。窒素同位体比の結果は、大気中の窒素を固定する植物プランクトンが当時大量に生息していた可能性を示唆するものとして注目に値する。また硫黄(硫酸塩および硫化物)の同位体比が、黒色頁岩層をはさんで5‰増大することを見出し、このことから硫酸還元バクテリアによる海水中の硫酸の還元が黒色頁岩堆積時に約20倍に増大したと見積もられた。また、有機炭素の堆積物へのフラックスは同じく黒色頁岩堆積時に約20倍に上昇したことを推定した。有機物に富んだ黒色頁岩は、白亜紀のみならず先カンブリア時代から断続的に見出されるものである。それらはしばしば大量絶滅期に合わせて産出し、その成因に関しては数多くの仮説が出されてきたが、現時点では、海洋大循環の停止により海洋深層水が貧酸素になったことが要因であるという考えが主流である。しかし、本研究による結果は海洋表層における生物生産の増大が本質的な要因であることを示唆している。本年度おこなった脂肪酸の安定炭素同位体比の測定結果は、比較的軽い同位体比を与えた。この結果は、らん藻など海洋生物プランクトンによる有機物生産の寄与が大きかったことを示しており、これまでの議論を補強するものである。
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