研究概要 |
マントルプルームの起こすマグマ活動を解明するために、米国のコロンビアリバー洪水玄武岩の成因を実験岩石学的に検討した。 1)コロンビアリバー玄武岩の大部分はぺリドタイトの部分融解によって生じたマグマではないこと、 2)10億年以上前に沈み込んだ海洋底地殻(MORB)が約70kmの深さで20-60%部分融解すればコロンビアリバー玄武岩を作ることが出来ること、 などを示した(Takahashi, Nakajima, Wright, E.P.S.L., in press 1998)。 我々の研究の結果、コロンビアリバー玄武岩を供給したイエローストーンホットスポットは、通常のアセノスフィアより最大でも100℃程度しか温度が高くなかったことが分かった。 玄武岩およびぺリドタイトの2成分よりなるプルームの溶解過程を理解するために、標準的なマントルペリドタイトKLB-1と玄武岩を異なる割合で混合した出発物質について、1-3GPaの圧力下で融解実験を行い、メルト生成量と温度圧力の関係、メルトの化学組成、融け残り鉱物の化学組成とその量比を決めた(Kogiso, Takahashi, Hirose, E.P.S.L., in press 1998)。 この研究の結果、玄武岩成分に富むカンラン岩の融解過程では、Ca輝石とガ-ネットが溶解の後期まで溶け残り、メルト組成は海洋島玄武岩(OIB)に普遍的に見られるシリカに乏しいアルカリ玄武岩となることが分かった。
|