研究課題/領域番号 |
09214210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
巽 好幸 京都大学, 理学部, 教授 (40171722)
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研究分担者 |
杉山 雅人 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10179179)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 白金属元素 / スーパープルーム / HIMU玄武岩 / マントル-核相互作用 |
研究概要 |
(1)白金属元素に対する高精度迅速分析法の開発 岩石中の白金属元素含有量の定量は、テルリウム強沈法とファイア-アッセイ法を併用し、高感度ICI-MS装置を用いて行なわれることが多い。しかし、従来の方法では、回収率が低く、さらに、使用する薬品類からの混染の 影響が大きいために、玄武岩などの低濃度の白金属元素含有量を定量することは困難であった。これらの困難を解消するために、今回改良を加えた点は、以下の3点である。(1)試料の溶融を、還元雰囲気下で2度行なう。(2)テルリウム強沈関して、最適の温度条件、時間を設定し、2度強沈を繰り返す。(3)試薬類の精製を行い、純度を向上させる。 これらの改良の結果、従来は測定不可能であった、玄武岩試料について、高精度の白金属元素分析値を得ることができた。 (2)白金属元素含有量に基づくスーパープルームの発生深度 白金属元素の分化トレンドを外挿して得られる初生マグマ中の白金属元素含有量は、HIMUマグマは非HIMUに比べて、系統的に高くなる点である。このことは、起源物質においてもこの関係が成り立つことを意味する。HIMUマグマの起源物質には、沈み込んだ海洋地殻物質が関与している。低い白金属元素含有量を示すMORBが関与すれば、HIMU起源物質中の白金属元素濃度は、さらに低下すると予想され、したがって、HIMU起源物質においては、非HIMUのそれに比べて、何らかの白金属元素およびSの添加が起こったことが、推察される。 1つの可能な、そして、他の観察事実と整合的なマカニズムは、マントルに比べて白金属元素の高い核物質がマントル/核相互作用によって添加された、というものである。今回得られた白金属元素含有量の異常を説明するためには、マントル物質(非HIMUの起源物質)に0.2重量%程度の核物質が添加される必要がある。つまり、HIMU玄武岩の起源物質は、マントル/核境界に位置することになる。
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