研究概要 |
コマチアイトは主に太古代に産出した超塩基性岩で、この起源を研究することは初期地球内部の状態を解明する手がかりを与える。本年度は、このコマチアイトが含水条件下での生成されうるのかを定量的に調べるため、パイロライトにH_2Oを加えた系で数種類の微量元素(Sc,Yb,Gd,Sm,La,Ti)をドープし、メルトとgametとの微量元素の配分を調べた。実験圧力は5.5〜20GPaまで、温度は1300〜1500℃である。 実験結果は、一般的な特徴としては、相対的にイオン半径の小さいScやYbはgarnet中に入り、他の元素は液中に入るが、これが高圧になるにつれて、すべての元素が液中に入りやすくなるという傾向に向かう。すなわち、Garnet/Liquidの分配係数は負の圧力依存性を持つ。この結果を使ってgarnetを液相から取り去ったときの液組成のGd/YbとAl/Tiの変化を計算すると、35億年前のコマチアイトは含水条件下で5〜10GPaの圧力で5〜25%のgarnetの分別で生成されうることが解る。これは、無水系では20-50%のgarnetの分別が、しかも15GPa以上で安定なmajorite garnetにおいて必要なのと好対照である。 これらの結果と以前の我々の研究結果を総合すると、コマチアイトを含水条件下で生成するには、5〜7GPaの圧力で、さらには1500℃付近の温度で十分である。このように、無水条件下での生成に比べて、非常に低圧低温で生成可能であり、この事実は地球の熱史を再考しなければならなくするかも知れない。 本研究成果は今Science誌に投稿中である。
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