研究課題/領域番号 |
09215215
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
曽田 一雄 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (70154705)
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研究分担者 |
加藤 政彦 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70222429)
柚原 淳司 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10273294)
森田 健治 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10023144)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | プロトン伝導性・酸化物 / X線光電子分光 / 反跳粒子検出法 / 軽水素・重水素置換反応 |
研究概要 |
ペロブスカイト型酸化物SrCe_<0.95>Yb_<0.05>O_<3-δ>(SCYO)は、400℃以上の高温で水素または水蒸気の存在の下、高いプロトン伝導性を示し、燃料電池や水蒸気ポンプなどの材料として注目されている。これまで、我々は、この材料の電気化学的応用に資すため、水素同位体濃度分布を直接測定できる反跳粒子検出(ERD)法を用いてこの材料中ヘイオン注入した水素同位体の挙動を支配する素過程について調べるとともに、光電子分光(XPS)法によりこの材料表面における水素吸着状態の知見を得てきた。本研究では、固体構造とプロトン伝導性との関連を調べるため、SCYO焼結体とSrTiO_3単結晶との比較を試みたが、研究過程で、SCYOに注入した水素同位体と雰囲気(水蒸気あるいは水素ガス)中の水素同位体との置換に大きな相違を見い出したので、この反応に注目した。 SCYO・雰囲気間における水素同位体の置換反応過程を詳しく調べるために、軽水素イオンあるいは重水素イオンを飽和注入した試料を重水あるいは軽水の蒸気雰囲気中に晒し、試料に残留する水素同位体の濃度の時間変化を調べた。その結果、注入された重水素は30分間で約20%、軽水素と置換するのに対し、注入された軽水素はほとんど重水素と置換せず、その反応係数は、近似的に一次反応として求めると、重水素→軽水素の置換に対して4.6×10^<12>/cm^2・sであり、軽水素→重水素の置換に比べ、約100倍大きいことがわかった。このような大きな同位体差は、従来考えられている反応過程では説明できず、これを説明する新しいモデル素過程を検討し、提案した。 また、等時焼鈍実験によると、SrTiO_3単結晶に注入された水素はSCYO焼結体に比べ高温で放出されることが分かった。今後、SCYOと同様な実験を行い、水素同位体置換過程など他の素過程について比較研究する予定である。
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