研究概要 |
(1)fcc(001)-(3x1)SAS構造の決定 Ni(001)表面に450Kでナトリウム原子をつけたときに、被覆率の増加とともに3と1,c(6x2)の表面構造が出現した。このうち、c(6x2)の構造をLEED構造解析により決定した。fcc(001)-(nxn)SAS構造と同じく、ナトリウム原子は置換吸着原子と単純吸着原子とからなり、単純吸着原子は2ニッケル原子列幅の直線状の丘に位置している(substrate belt)ので、SAS構造の仲間と考えられる。fcc(001)-(3x1)SAS構造と名付けた。 (2)fcc(001)-(nxn)SAS情造形成条件 これまでに10個の吸着系での表面構造を調べたなかで、6個の吸着系においてfcc(001)-(nxn)SAS構造が形成することが明らかとなった。これらの吸着系において、吸着原子の直径に対する基板原子の直径の比(R)によって(nxn)SASができたり、(3x1)SASができたりすると考えた。Rが1.18〜1.27では(nxn)SAS,Rが1.44〜1.68では(3x1)SAS、Rが1.7以上では吸着層形成が起こる。Rが1.1以下では、バルクへの吸蔵が起こるようである。 その他に2、3の条件を考えているが、今後さらに詳しい検討が必要である。 (3)走査トンネル顕微鏡(STM)により、Cu(001)上のリチウム吸着によって形成する(2x1),(3x3),(4x4)構造を観察した。LEED解析で決定した構造をサポートする結果を得た。表面欠陥、分域構造、ステップのダイナミックな移動過程を観察することができたが、それぞれの構造が形成する過程を原子レベルで追跡することにはまだ成功していない。
|