研究概要 |
クラスター・超微粒子になると体積に比べて表面の割合が増し、反応性が高まる。微粒子独特の構造・形態および盛んにおこる接合成長も、0次元物質の特性を示している。微粒子と薄膜の反応法では微粒子の形態変化を調べることによって,拡散の方向が分かり,回折パターンの解析により生成物が分かる。CuがSe固体中を拡散することは実験的にも電子状態による理論的解析からも良く知られている。拡散の方向が変化することをCu film-Se粒子によるモデル実験により、初めて明らかにした。 銅膜は真空蒸発法による多結晶薄膜およびエピタクシャル成長した単結晶薄膜を用いた。ガス中蒸発法によりセレン超微粒子を作った。セレン粒子のサイズは我々の提案した二段ボ-ト法を使用し,10nmから500nmのサイズの粒子を銅膜上に乗せた。セレン粒子は球状で非晶質である。サイズ500nmオーダーの粒子を置くと,銅がセレン中を拡散して,セレン粒子からセレン化銅がウニのように成長した。これは銅の拡散が支配的であることを示している。100nmオーダーの粒子の際にはセレンの球状粒子の形が多面体に変化し,銅セレン化した。これは銅とセレンの相互拡散が起こっていることを示している。大きさ20nm以下のセレン粒子を置くと,セレンが銅膜の表面を拡散して,セレン粒子よりも大きい範囲にわたって銅過剰のセレン化物が生成した。これは粒子サイズにより拡散方向が異なることを見事に示している。ナノ構造になると異なる現象がみられたことを示しており,今後の重要な展開分野となる。Sb-SeおよびSi-C,C-SiO系でも新事実が出てきつつある。
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