研究概要 |
1.LB法で作製したグラシーカーボン電極上の長鎖アルキルシトシン誘導体のレセプター単分子膜は,グアノシンーリン酸(GMP^<2->)と多点水素結合により相補的塩基対を形成する.その際,GMP^<2->により膜の表面電荷が変わるので,溶液中に加えられたマーカー陰イオン[Fe(CN)_6]^<3-/4->の膜透過性が減少する.この単分子膜はGMP^<2->を選択的に認識識別できた. 2.トリカルボン酸トリチオアミドを合成した.この分子の自己集合膜形成後の脱プロトン化によって得られるトリカルボキシレートレセプターがゲスト分子を認識することをマーカー陰イオン[Fe(CN)_6]^<3-/4->の膜透過性の変化から電気化学的に確認した.この際,1,4,7,10,13,16-hexaazacyclooctadecaneに対して10^<-7>Mの濃度から応答するが,単純なalkylamineに対しては10^<-2>Mまでほとんど応答しないことが確認された. 3.分子内内孔を持ち剛直な骨格を有するβ-,γ-cyclodextrinチオール誘導体を合成し,これらの分子の自己集合膜を吊下げ水銀滴電極表面上に形成させ,分子内内孔における物質の透過を,内孔に選択的に結合するゲスト分子により制御可能なことを確認した. 4.化学修飾探針に基づくSTMを用いてHOPG基板上のoctadecanol単分子膜の観測を,未修飾のSTM探針ではoctadecanolの水酸基とアルキル基部位は区別できないが,水素結合部位を持つp-mercaptopyridineの自己集合膜で化学修飾した探針では,octadecanol水酸基に相当する部分が明るく観測された. 5.チオエーテル基を持つシラン化合物に基づく自己集合膜をAFMおよび基板に化学修飾し,この官能基と強く相互作用する銀イオンを含む水溶液中でのAFM探針と基板間の吸着力を測定した.その結果,銀イオンの濃度の増加に伴う吸着力の増加が観測された.
|