研究課題/領域番号 |
09217231
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中辻 博 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026211)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 固体表面-分子間相互作用 / Dipped adcluster model / SAC / SAC-CI法 / 量子化学 / STM(走査型トンネル顕微鏡) / 電子状態 / 表面触媒反応 / 電子メカニズム |
研究概要 |
本研究の目的は、表面一分子相互作用系を有効に表現するモデルとその電子状態を定量的に計算する理論の開発と計算である。平成9年度の研究成果は以下に具体的に述べる。 STM/STSの電子的機構の解明のため、STMの理論シミュレーションを行う方法を開発した。その方法をいくつかの表面に対して応用し、STM像の理論的解釈を行った。走査型トンネル分光法(STS)は、電場に対するトンネル電流特性の測定であるが、STMと同様に理論シミュレーシュンを行った。表面系の電子状態がSTS像に与える影響について分子軌道法による研究も検討した。これらの結果に基づいて、STSのスペクトルから表面の元素分析の可能性の研究が進んでいる。 表面触媒反応の電子的機構の研究は今年も進めている。表面-分子相互作用系の理論モデルとしてDipped adcluster Modelを用いた。我々は銀表面上でのオレフィンの部分酸化及び完全酸化反応の電子的メカニズムを解明しており、アセチレンの酸化反応のメカニズムも明らかにした。その結果、アセチレンオキサイドが必要に不安定ため、生成しにくいことがわかった。一方、アセチレンの水素の反応性が高いため、水素活性化による完全酸化反応を起こすことが明らかにした。また、銀表面上でのオレフィンの酸化反応に直接関連している水酸基の吸着構造及び電子状態や、Ag(100)表面における水酸基の不均化反応の電子的メカニズムなどを理論的なアプローチから明らかにした。この結果から、銀表面上での水酸基の全般的な挙動及び触媒反応にの役割を解明した。さらに、銅表面上での炭素ガスの接触水素化反応によるメタノールの合成反応プロセスに対して、全ての可能な反応中間体・遷移状態のエネルギー及び電子状態を計算し、この反応のメカニズムを初めて理論的に解明した。このプロセスの律速段階はFormateからDioxomethyleneへのステップであることがわかり、触媒設計の指針を与えた。
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