研究課題/領域番号 |
09217246
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西野 憲和 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (40145165)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 多フッ素化アミノ酸 / ポリペプチド / 両親媒性構造 / 疎媒効果 / 高次構造 |
研究概要 |
多フッ素化アミノ酸の代表例として、L-型のトリフルオロエチルグリシン(L-Tfe)の大量調製が可能となったので、これを他の中性あるいは親水性のアミノ酸と組み合わせて、2種類の人工タンパク質モデルを合成した。両者共に中性のアラニン(Ala)と親水性のリシン(Lys)またはグルタミン酸(Glu)を含み、両親媒性α-ヘリックスモチーフを有する21-ペプチドであるが、異なるアミノ酸配列を持たせた。 モデルI:(Ala-Tfe-Ala-Lys-Ala-Tfe-Ala)_3 モデルII:(Glu-Tfe-Tfe-Lys-Ala-Tfe-Ala)_3 2/7の比でTfeを含むモデルIは水中ではランダム構造となり、25%以上のトリフルオロエタノールの添加によってα-ヘリックス性を示した。側鎖トリフルオロエチル基の占有体積が、従来のロイシン構造(イソブチル基)に対して著しく小さいため、ペプチド主鎖の2次構造を破壊するほどの凝集力が生じており、これを緩和するためインシュレータとしてフッ素系溶媒が必要であると考えられた。炭化水素系のメタノールを溶媒に用いると、当初α-ヘリックスであった2次構造は、24時間以内にゆっくりとβ-シート構造に変化した。これはメタノールとトリフルオロエチル基間の疎媒効果が働いた結果である。 モデルIIは水中でランダム構造、メタノール、トリフルオロエタノール中でα-ヘリックス構造であった。メタノール中のα-ヘリックス構造はβ-シート構造に転移しなかった。これは、モデルIIのアミノ酸配列中で連続するTfeがβ-鎖になった場合に互いに離されるより、むしろ近接してらせん構造の安定化をもたらすのが原因である。 上記の知見は触媒機能を有する人工タンパク質の設計の精密化のために重要な指針を与えるものである。
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