研究課題/領域番号 |
09217252
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宗像 惠 近畿大学, 理工学部, 教授 (80090942)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 縮合多環化合物 / π-錯体 / 錯体ポリマー / 超構造 / 伝導性錯体 / Ag-錯体 |
研究概要 |
本研究では9,10-diphenylanthracene(dpan)とrubrene(rub)がπ配位した新規Ag(I)錯体超分子[Ag(dpan)(ClO_4)(benzene)_2](1)と[Ag(rub)_<0.25>(ClO_4)(H_2O)](2)の構築に成功し、構造と物性を明かにした。 (1)錯体1のAgには一分子のdpan、二分子のベンゼンとClO_4^-が配位した四面体構造の単核錯体であった。Agにはdpanのアントラセンと一分子のベンゼンがη^2配位し、もう一分子のベンゼンは1個の炭素原子で配位している。この錯体でη^2配位したベンゼンの配位箇所のC=C間距離は1.42Åで約0.02Å長くなっている。1は絶縁体であった。 (2)錯体2のAgにはrubがナフタセン骨格の2つの炭素でη^2配位、フェニル基は1つの炭素で配位、さらにClO_4^-とH_2Oが配位し、歪んだ四面体構造をとっている。freeのrubと錯体のC=C間距離を比較すると、Agが配位したナフタセン骨格は1.37Åでfreeのrubでは1.35Åと0.02Å長くなっている。注目されることは二重結合性の強い箇所で錯形成していることである。錯体全体としてはrubが8つのAgと結合し、これらのAgは四分子のrubに架橋した三次元構造を形成している。興味あることにrubのナフタセン骨格は30.5°ねじれている。2の微結晶はg=2.003に有機ラジカルによるシャープなESRシグナルと、g=2.146にAgによるブロードなシグナルが観測され、rubとAgとの間での電荷移動が明らかとなった。有機ラジカルについてのスピン量を測定した結果、0.18%であった。2の電気伝導率σ=1.9×10^<-6>Scm^<-1>であり、I_2ドープしたサンプルはσ=6.6×10^<-4>Scm^<-1>であり、二桁伝導度が増大した。高歪みrubreneを有する2は新しい機能を示すことが示された。
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