研究概要 |
本研究では、担持白金触媒上でのNO-CO反応において,触媒表面吸着種の過渡応答を観察した。触媒は60/80meshに粉砕したアルミナ(JRC-ALO-4)に塩化白金酸を含浸し,焼成・還元して用いた.担持率は1wt%とした.本触媒を本年度申請した拡散反射測定用高温FT-IRチャンバーにセットし,希釈したNO,COを導入し,吸着種(特にNCO種)の経時変化を観察した.また,吸着種の状態が定常的になった時点でCOの供給を停止し,各吸着種の過渡応答を観察した.標準条件はNO:500ppm,CO:2500ppm,He希釈とし,温度は200°Cとした. NO-CO反応が定常となった後,COの供給を停止すると,NCO種の急激な増加が一瞬見られ,その後減少した.その極大はCO停止後数分であった.このNO種も極大を示すように変化したが,その極大値はCO停止後数十分であった.CO種は単調に減少した.興味深い点は,NCOの生成は定常では非常に遅いのに,過渡応答時には非常に速いということである. 以上の現象は今のところ不明な点は残されるが,次のような説明が可能である. (1)定常条件では,過剰なCOが優先的に表面を覆ってしまい,NOがほとんど吸着できない.そのため,NO種は観察されず,また吸着NOと吸着COの2分子反応によって生成すると思われるNCO種の生成は遅い. (2)COの供給を停止すると,吸着していたCOが徐々に減少し,NOが吸着できるようになる.その間,NOもCOも表面に同時に存在するので,NCOの生成が起こる.観察されたNCOの生成は非常に速いので,本来のNCO種の生成反応は速いと考えられる.定常条件下でNCO種の生成が遅いのは反応速度定数が小さいためではなく,原料となるNO種の表面濃度が低いためだと考えられる.
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