研究概要 |
CuZSM-5はNO_xの分解触媒として有効であることはよく知られている.しかし,CuZSM-5中の反応活性サイトの状態は未だ明らかにされていない.COおよびN_2吸着特性を利用することによってCuZSM-5中のNOの分解活性サイトの解析を試みた. イオン交換法によって調製したCuZSM-5-141試料を873Kで処理し,さらにin situ条件でCOを吸着させたときのIRスペクトル(室温)およびCO吸着後,種々の温度で排気し,室温で測定したIRスペクトルについて,CO吸着後,2155cm^<-1>付近に幅広い吸収バンドが観測され,銅イオンは873K処理により1価に還元されることがわかった.また,2155cm^<-1>付近の吸収バンドは波形解析により2159と2151cm^<-1>および2135cm^<-1>の3種類のバンドに分離できた.3種類のサイトが存在する試料では,NOが分解され,生成されたN_2によるバンドが2295cm^<-1>に観測されることがわかった.一方,吸着COによる2159cm^<-1>のバンドを有する(COで一つのサイトを塞いだ)試料では,この反応が進行しないことがわかった.これらのデータからNOの分解反応が起こるためには総てのサイトが必要であるか,2159cm^<-1>のバンドを与えるサイトが必要であるかのどちらかである. Cu(hfac)_2を担持したZSM-5試料に,COを吸着させ,室温で排気した後のスペクトルは2158cm^<-1>にのみバンドを与えた.したがって,この試料中に存在するCu^+種は1種類であり,この試料にNOを導入し,平衡状態のガスの成分分析を行った結果,NOの分解の分解生成物であるN_2は検出できなかった. これらのデータから,CuZSM-5試料におけるNO分解反応において,2159と2151cm^<-1>に吸着CO種のバンドを与える2種類のCu^+サイトの存在がNOの分解活性触媒としての必要条件であることを明らかにした.
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