研究課題/領域番号 |
09218253
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中井 浩巳 早稲田大学, 理工学部, 講師 (00243056)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 理論的研究 / 触媒作用 / メタノール合成 / Cu / ZnO触媒 / フォーメート中間体 / 分子性酸化物[V_4O_<12>]^<4-> / C-Cカップリング / 電子移動 |
研究概要 |
本研究では、触媒反応の活性点における吸着種の構造・電子状態・エネルギーを量子化学計算により求め、触媒作用の解明を目指してきた。さらに、その結果に基づいて分子・原子あるいは電子レベルで触媒設計を行うことを最終目標とした。以下に具体的な研究成果を報告する。 1.Cu/ZnO触媒によるメタノール合成反応: 気相中のCO_2とH_2からメタノールを生成する反応は、工業的にも重要であり、多くの実験的研究がなされてきた。しかしながら、反応メカニズムや触媒作用の本質など未解決な問題も多く残されていた。本研究では、Cu_4およびCu_3Znクラスターを用いて、それぞれ清浄表面および亜鉛蒸着表面のモデルとし、吸着フォーメートの水素化反応を重点的に調べた。その結果、Zn-Cuに橋掛けしたフォーメート中間体の存在が確認され、安定性・反応性ともに清浄表面のものよりも有利であることがわかった。吸着フォーメートの水素化反応過程では、ジオキソメチレン中間体、メトキシ中間体を経て、メタノールが生成することがわかった。Cu表面の触媒作用やZnの助触媒効果には、種々の吸着種への多彩な電子移動が密接に関与していることが明らかとなった。 2.[V_4O_<12>]^<4->上に坦持されたアリル-ロジウム錯体によるC-Cカップリング反応: 分子性酸化物[V_4O_<12>]^<4->上に坦持されたアリル-ロジウム錯体は、C-Cカップリング反応を引き起こしヘキサジエンを生成することが知られている。本研究では、この反応過程における構造変化と触媒活性の関係を明らかにすることを目指した。その結果、C-Cカップリング反応が起らないアセチルアセトナート上に坦持されたアリル-ロジウム錯体に比べて、遷移状態に大きな差異が見られた。この違いは、ロジウム錯体部位への電子移動の違いに由来していることが明らかとなった。構造面では、フリーな酸化バナジウム錯体はV_4O_4という8員環はπ共役により平面構造を有しているが、ロジウム錯体がこれに配位すると平面構造は崩れることが示された。2個のロジウム錯体が配位する場合、V_4O_4の8員環を通した長距離相互作用が働き、これがC-Cカップリング反応をサポートしていることも明らかとなった。
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