研究課題/領域番号 |
09221210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河内 啓二 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60143400)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 昆虫 / 飛行力学 / 翼 / はばたき運動 / 制御 |
研究概要 |
本年度は大きく2つの研究テーマが進展した。1つは昆虫神経系とセンサーの間の1関係を調べたもので、バッタのテギュラ(Tegula)と呼ばれるセンサーとはばたき運動制御の関係を調べたものである。テギュラは羽の付け根にあり、羽と胴体の間に胴体側からつき出した微小センサーで、コブ状突起に毛のはえたいわばタワシ状の構造をしていて、これではばたき運動の変位を検出していると言われていた。このテギュラの毛をワックスで固定して、センサーとしての機能を停止させ、はばたき運動への影響を調べた。はばたき運動への影響を調べた。はばたき運動は、高速度ビデオカメラを使用して計測し、ワックス固定前の自由運動と片側の羽のみをワックス固定したケースを比較した。その結果、はばたき運動の周期と振幅には変化が見られず、一方、リ-ド・ラグ運動に有意な差が観察された。このことは、テギュラからの情報が従来言われていたはばたき運動の変位情報の検出よりも、むしろリ-ド・ラグ運動の情報に強い関係があり、方向制御のヨ-運動に関わる器官であることを強く示唆している。 もう1つの研究はこのような神経系で制御される羽のはばたき運動と、流体力の関係の解明である。複雑なはばたき運動を行なっている翼断面の動きを、簡単な1次のサインカーブに従うヒ-リビング運動とピッチング運動で模擬し、両者の位相差と振幅を変化させ、発生する流体力を計測するとともに、翼周りの流れを観察した。その結果、昆虫のはばたき運動では瞬間的に極めて大きな力が発生し、また、平均的にも一様誘導速度を仮定した準定常計算の2倍以上の力が発生していることが明らかになった。昆虫のはばたき飛行においては、停止、加速度運動、減速度運動、停止の順に生ずる非定常運動過程が極めて大事であり、従来の翼理論で用いられていた一様流を仮定した定式化は誤差が大きく適用できないことが明らかになった。
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