研究概要 |
本研究は,動的に構造が変化する環境を対象にして,自律的に観測・行動を行うロボットが環境変化に適応・認知する枠組みの確立を目的とする. 1.T-Net表現 詳細な数値的環境モデルでなく,環境構造に基づくモデルとしてT-Net(Target Net)を提案した.T-Netは,環境の局所領域に軸を設定し,その軸に沿った直線領域で環境を近似する表現形式で,1次元のネットワークによる環境モデルである.また,T-Netは,ロボットの行動に役立つ情報を直接指示し,広範囲の行動・観測に基づき一意的に局所モデルを決定する利点がある. 2.T-Netを利用した移動 T-Netは経路セグメントによる環境表現であるから,与えられた目標に対する経路計画,その実行が用意である.全方位視覚を持つ移動ロボットを用いて,T-Netの自律的獲得と走行の実験を行い,その有効性を確かめた. 3.環境構造の変化 T-Netに基づく移動は定常的環境には有効であるが,実環境は動的で,T-Net記述と部分的に異なることも多い.そこで,環境の変化を分類し,構造の定常的変化に対応する方策を検討した.具体的には,次のセグメントに移る分岐点を決定する過程で,1組のターゲットの一方が見つからない時には静止し,動的物体の消失を待つ.定常的変化と認知されると,ターゲットを隠す障害物回避とターゲットの探索を行い,成功するとT-Netに一時的登録を行い,以後の行動に利用する.この枠組みを,実験により検証した. 4.まとめ 従来の定性的環境モデルを一歩進めて,環境構造の部分的変化に適応・認知する方式を研究し,その有効性を実証した.
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