研究概要 |
人手による把握,操作行動に伴う皮膚感覚(触覚)機能に注目し,それを人工的に実現する分布形触覚センサを有するハンドを試作して,その諸特性を取得した.また視覚センサから取得されたイメージと触覚センサの触像イメージをアスペクトの観点より統融合化を行う研究を実施し,下記のような成果を得ることができた. (1)分布形触覚センサを配置した平行2本指ハンドを試作し,その基本特性を取得した.とくに,センサのコンプライアンス特性が得られ,センサに加わる圧力分布ならびにセンサ表面の変位量を取得できる特徴を有している.この特性を利用して把持物体への外力推定実験を行い,触覚像を用いた物体の組み付け作業に応用が可能となった. (2)視覚センサが取得可能な物体の見え方(アスペクト)とハンドが物体を把持し,その接触像として取得可能な触り方(触像アスペクト)を測地ドームの上に表現し,両アスペクトの幾何学的な関係を与える手法を開発した. (3)測地ドーム上にアスペクト並びに触像アスペクトを表現し,視触覚センサの統融合化手法を与えた.物体の視覚像より,物体とカメラの幾何学的な関係を取得できるので,その座標系において,ハンドの姿勢より,把持物体の触覚像の推定が可能となった. (4)注目する物体に対し,視覚センサより取得される視覚像と触覚センサによる触覚像の両者を用い,物体の形状パラメータを同定する手法とその実験結果を与え,その有効性について示した. 本研究成果より,人間と機械のより親和性の高い接触行動に基づいた情報の授受を発現するシステムの開発が可能となり,多くの応用が期待される.
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