研究概要 |
本研究では,まず,人間の意図に応じてロボットが予め教示された複数の経路パターン間をスムーズに選択移行できるように,人間の意図候補を順位づけて表現できる機能の重要性を指摘した.そして,これを実現するために,隠れマルコフモデルを応用して各経路パターンの意図採用率を求める手法を開発し,その適正な動作および有用性を検証した.つぎに,ロボットが人間に恐怖感を与えない,すなわち心理的に安全な運動条件を同定する目的で,人間が恐怖を覚えたときに反応する瞳孔径の変化に着目した心理生理学的恐怖評価システムを構築した.そして,これを用いて心理的安全運転条件を定め,等加速度運動および等ジャーク運動を対象として心理的安全を確保するためのロボットの運動条件をマルチモーダルに表現した.以上の研究により,人間の意図に従った経路上を心理的恐怖を与えないで安全に運動するマニピュレータが構築できた.そこでさらに,これを動力補助として利用する上で重要となる操作性の改善手法について議論した.すなわち,人間の意に添った経路上で,人間にとって望ましいインピーダンスパターンを,人間とロボットが協調しながら求めていく新しい考え方の必要性を指摘した.そして,これを達成するために,人間が各場所ごとにインピーダンスを自分の感性に合わせて設定できるフィールド・インピーダンス・イコライザという機能提案し,その性能を評価するとともに所望インピーダンスが学習的試行の中から発揚げんして来ることを示すことによって,提案する考え方の有用性を検証した.
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