研究概要 |
本研究では,分布型アクチュエーションによる柔らかい物体のマニピュレーション作業について考察する.特に,ビジュアルフィードバックにより,布地の位置決め作業を実現することが目的である.まず,布地の力学的挙動を実験的に分析し,面状柔軟物の計算機内変形モデルを構築した.格子点上にバネを配置したモデルにより,2次元平面内での布地の変形を計算できることがわかった.次に,複数のアクチュエータを持ち,分布型アクチュエーションが可能な機械システムを構築した.布地を複数のフィンガで把持し,各フィンガーの運動を制御することで,布地の変形形状を制御する.布地の位置決め作業とは,布地上に設定された複数のポイントを,あらかじめ与えられた目標値に移動させることである.布地の位置決め作業では,ポイントを直接操作することができない.ポイントとは異なる場所にフィンガを配置し,フィンガの運動を制御することで,間接的に複数のポイントの位置決めを行う.そこで,このような位置決めを,間接同時位置決めと名付け,その制御則を提案した.CCDカメラの画像から,布地上のポイントの位置を計測する.計測値と各ポイントの目標値との差から各フィンガの運動を求める制御則を,布地のモデルを用いて導いた.一方向の位置決め実験では,1自由度のフィンガを二つ用いて,布地上の二つのポイントを位置決めした.その結果,1回の計測で1mm以下の位置決め精度を得た.次に,平面内の位置決め実験を行った.2自由度のフィンガを三つ用いて,布地上の三つのポイントを平面内で位置決めする.その結果,多数回の計測を要するが,一方向位置決めと同等の精度を得た.
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